【不安解消】介護認定調査のコツは4つ!親が軽く判定されないために家族ができること

介護認定調査のコツは4つ 親が軽く判定されないために家族ができること。自宅のリビングで、娘が調査員にメモを手渡し、隣で父がほほえんでいる。 ご家族向け
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娘さん
娘さん

父は人前だと「何でも自分でできる」と言ってしまう。母も父の前では、トイレの失敗を言い出せない。

息子さん
息子さん

来週、調査員が家に来ると連絡があった。仕事を休んで立ち会うべきか、何を準備すればいいのか分からない。

介護認定調査の前に、こんな不安を抱えていませんか?

認定調査には、家族が前もってできる準備があります。理学療法士として18年、訪問看護ステーションで10年以上勤務してきた私が解説します。

介護認定調査のコツは4つ
  • 家族が立ち会う
  • ふだんの様子をメモで渡す
  • 「できる」と「している」の違い
  • 本人を否定せず、いない所で補う

この記事を読むことで、調査の日までにやることが決まり、当日を落ち着いて迎えられるようになります。

親に合った介護サービスを受けるための、最初の一歩にしてください。

しやに

理学療法士免許を取得し、18年従事。法人内の異動で経験を積む。
訪問看護ステーションに転職し、10年以上経過。
【保有資格】
・理学療法士
・福祉住環境コーディネーター2級
・介護支援専門員(ケアマネージャー)

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介護認定調査のコツ 4つ

介護認定調査のコツ 4つ。調査の前の日に、娘がダイニングテーブルでメモを書きながら考えている。

介護認定の調査を受けることが決まったら、注意して欲しいコツがあります。

家族が立ち会える日にしてもらう

仕事を休んででも、調査の日は1回立ち会う価値があります。本人の答えだけでは、夜のトイレや失敗した日の様子までは伝わりません。

京都市の認定調査員向けの研修資料には、次のように書かれています。

正確に調査対象者の状況を把握するため、可能な限り、日頃の調査対象者の状態を把握している御家族や施設職員等に立ち会ってもらう。

出典:京都市「認定調査員に求められること(京都市認定調査員新任研修)」(6ページ)

離れて暮らしていて、どうしても行けないときは、次の「ふだんの様子のメモ」を本人のそばにいる人に預けておきます。

「ふだんの様子」をメモにして渡す

調査員は、限られた時間で74項目を確かめます。

聞かれてから思い出すと、「えーと、たまに……」とあいまいな答えになりがちです。前もって紙に書いておけば、言い忘れも、本人の前で言いにくいことも伝えられます。

ふだんの様子を知らない人が調査に来るときは、特にメモが役立ちます。

  • 新規の申請で、市区町村の職員が来るとき
  • 担当のケアマネジャーが替わった直後

ふだんの様子をメモに書く場合には、5つの視点があります。

介護認定調査の日に家族が渡すメモに書く5つ。困っている場面、回数、いつから始まったか、家族が手伝っていること(後片付けも含む)、調子の悪い日の様子。
しやに
しやに

メモに書く具体的な例をあげます。

メモに書く具体的な例。夜中のトイレに1晩2回起きる、先月廊下で2回転んだ、3か月前から薬の飲み忘れが週に3日ある、娘が週2回お風呂を手伝う、尿もれで汚れたズボンを妻が週に3回洗っている。

メモの「回数」や「家族が手伝っていること」は、調査票の書き方とつながっています。

標準化された選択基準では表現しきれない申請者固有の「介護の手間」を補うために「特記事項」が設けられている。 申請者固有の「介護の手間」の内容及び頻度について、実態に沿って具体的に記述する。

出典:京都市「認定調査員に求められること(京都市認定調査員新任研修)」(4ページ)

「できる」と「ふだんしている」の違いを伝える

調査の場で「できた」動作と、ふだんの暮らしで「している」動作は、同じとは限りません。

リハビリの世界でも、「できる動作」と「している動作」を分けて考えるのが基本です。

調査員の前では椅子から1回で立てても、ふだんは手すりにつかまり、何度かやり直していることがあります。

埼玉県の案内には、次のように書かれています。

申請者の普段の状況を総合的に勘案して判断しますので、できる限り本人の生活の場において、普段通りの状態を伝えるようにしましょう。

出典:埼玉県「要介護認定調査」

調査で動作を見せたあとに、家族から一言添えてください。

しやに
しやに

「ふだんは手すりを使っています」「朝はこの動きに時間がかかります」のように伝えます。

体験談:「できる」と答える本人と、暮らしを支える妻

介護保険の更新に向けたサービス担当者会議に参加したときのことです。

ご家庭では、ご本人である夫の意向が強く、妻は自分の意見をなかなか口にできない様子でした。ケアマネジャーの訪問時も、主に話すのは夫。妻が日々の暮らしについて話す場面は、あまりありませんでした。

調査での「できる」と、実際の暮らし

ご本人は調査の際、身の回りのことについて「できる」と答えていました。しかし、実際の暮らしでは転倒やトイレのトラブルがありました。

尿もれで下着やズボンが汚れることや、トイレを汚してしまうこと。排便後の拭き取りが十分にできず、衣類が汚れることもありました。

そのたびに介助や後片付けをしていたのは、妻でした。

ご本人には、こうしたことを人に知られたくない気持ちがあったのだと思います。衣類を汚したことや転んだことを、調査の場では話していませんでした。

妻も実情を知っていましたが、本人の前では調査員に伝えられずにいました。

本人の前では、話せないこともある

この経験で感じたのは、本人の説明だけでは、日々の暮らしが十分に見えないこともあるということです。

「できる」という言葉の陰で、家族が介助や後片付けを引き受けている。その支えが伝わらなければ、どのような場面で助けが必要なのかも見えにくくなります。

担当のケアマネジャーが、普段の様子を把握していることもあります。一方で、担当が替わった直後や、初めて訪問する役所の職員による調査では、生活の実情が十分に伝わらないことがありました。

普段の様子を、メモで伝える

前もって普段の様子をメモにまとめ、調査員に渡すことで、実際の暮らしを理解してもらいやすくなったことがありました。

その場では言いにくいことも、書いておけば伝えられる場合があります。どんなことが起き、その後に誰がどのような手助けをしているのか。具体的に残すことが、暮らしの様子を伝える助けになりました。

大切なのは、ご本人を責めることではありません。本人の気持ちを大切にしながら、支えている家族の負担も含めて知ってもらうことだと感じています。

「できる」と、日々の暮らしの中で実際に「している」こと。そのずれは、トイレの失敗や転倒など、人には言いにくい場面にも表れます。

だからこそ、本人の言葉とともに、普段の生活や家族の支えにも目を向けることが大切だと思います。

本人を否定せず、本人のいない所で補う

本人が「できます」と答えても、その場で「できないでしょ」と言い返さないでください。

親にとっては、家族の前でできないことを並べられるのは、つらいことです。

本人のいない所で補う方法は3つあります。

  • 調査の前に、メモを調査員に渡しておく
  • 調査が終わったあと、玄関先などで少し時間をもらう
  • 本人が席を外したときに、言い足りなかったことを伝える

介護認定調査で聞かれることと、当日の流れ

聞かれることと、当日の流れ。自宅のリビングで、調査員がソファに座る父にやさしく話しかけ、娘が隣で見守っている。

調査の中身を前もって知っておくと、当日の質問に慌てずに答えられます。

調査に来るのは、市区町村の職員か、委託を受けたケアマネジャー

知らないケアマネジャーが来ても、市区町村の調査として来ているので慌てなくて大丈夫です。

市町村に要介護認定の申請を行うと、市町村の介護保険担当課職員、または市町村から委託を受けた事業者の介護支援専門員(ケアマネジャー)が、ご家庭等を訪問します。

出典:埼玉県「要介護認定調査」

新宿区の案内には、調査員が持っている書類について次のように書かれています。

調査員は「介護支援専門員証」及び「介護保険要介護認定・要支援認定訪問調査依頼書」を持っています。調査員であることを確認したい場合は、その提示を求めてください。

出典:新宿区「認定調査・主治医の意見書」

聞かれるのは74項目で、時間は30分〜60分が目安

項目が多いので、メモがあると答えやすくなります。

全国共通の調査票に基づき、74項目の基本調査と概況調査及び特記事項を記入します。

出典:新宿区「認定調査・主治医の意見書」

聞かれる中身を前もって知っておくと、メモに書くことを決めやすくなります。

認定調査票の「基本調査」の調査項目は、以下の第1群から第5群によって構成されている。

出典:三重県「基本調査項目の群分けについての基本的な考え方」
介護認定調査で聞かれること。第1群は身体機能・起居動作、第2群は生活機能、第3群は認知機能、第4群は精神・行動障害、第5群は社会生活への適応、その他は過去14日間に受けた特別な医療。

時間の目安は、京都市の調査員向けの資料に会話の例として載っています。

所要時間の目安は30分~60分です。

出典:京都市「認定調査員に求められること(京都市認定調査員新任研修)」(8ページ)

体調が悪い日は、日を改めることがある

調査で見るのは、ふだんの状態だからです。

京都市の調査員向けの資料には、次のように書かれています。

調査対象者が急病等によってその状況が一時的に変化している場合等で、適切な調査が行えないと判断した時にはその場では調査を行わず、状況が安定した後に再度日程調整のうえ調査を行う。

出典:京都市「認定調査員に求められること(京都市認定調査員新任研修)」(6ページ)

介護認定調査とあわせて、かかりつけ医にも様子を伝える

かかりつけ医にも様子を伝える。診察室で、娘が医師にメモを手渡し、父が隣に座っている。

受診のときに、ふだんの様子を書いたメモをかかりつけ医に渡してください。

かかりつけ医が書く意見書は、「主治医意見書」と呼ばれます。

北九州市の案内には、判定の材料が次のように書かれています。

「訪問調査」の結果と「主治医意見書」をもとに、保健・医療・福祉等の専門家が、どれくらい介護が必要かを審査・判定します。

出典:北九州市「要介護認定を受けるには」

判定の進み方は、厚生労働省のページに次のように書かれています。

介護サービスの必要度(どれ位、介護サービスを行う必要があるか)の判定は、客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行います。

出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
要介護認定は、認定調査と主治医意見書をもとに、コンピュータの一次判定と専門家の二次判定を経て、原則として申請から30日以内に通知される。

介護認定調査でやってはいけないこと

やってはいけないこと。娘が父の隣に座り、調査員にありのままを落ち着いて話している。

調査で、ふだんより悪く見せたり、話を大きくしたりしないでください。「裏ワザ」として紹介されることもある方法です。

事実と違う内容は、親に合わないサービスにつながります。

京都市の調査員向けの資料には、調査の考え方が次のように書かれています。

利用者が使いたいサービスに合わせて介護度を設定する調査ではなく、その方の状態像に見合った、公平・公正で適切な調査を心がけてください。

出典:京都市「認定調査員に求められること(京都市認定調査員新任研修)」(11ページ)

介護認定調査の結果が出るまでと、結果が合わないとき

結果が出るまでと、結果が合わないとき。娘が届いた封筒から書類を取り出し、父と一緒に見ている。

届いた結果が実際の様子と合わないときや、あとで状態が変わったときにも、次の一手があります。

結果は、原則として申請から30日以内に届く

申請した日から数えるので、申請日を手帳に書いておくと、届く時期の目安が分かります。

介護認定審査会での審査判定結果に基づいて、原則として、申請から30日以内に要介護認定結果が通知されます。

出典:北九州市「要介護認定を受けるには」

結果に疑問があれば、まず市区町村に説明を聞く

なぜその介護度になったのかが分かると、次に何をするかを決めやすくなります。

通知された要介護認定結果に疑義がある場合は、市町村から要介護認定結果について説明を受けてください(多くの市町村では、要介護認定に用いた資料について個人情報開示を行っています。)。

出典:埼玉県「要介護者・要支援者」

担当のケアマネジャーがいるなら、先に相談しておくと話が早く進みます。

ケアマネジャーの役割は、ケアマネジャーさんについてで紹介しています。

状態が変わったなら区分変更、認定そのものに不服なら審査請求

結果に納得できないときの手続きは、2つあります。

心身の状態が変わったときは区分変更申請、認定の結果に不服があるときは審査請求。審査請求は都道府県の介護保険審査会へ、原則3か月以内に申し立てる。

区分変更申請ができるのは、次のときです。

疾病の症状の進行や傷害等により、介護を受ける程度が著しく変化した場合は、要介護認定の区分変更申請を行うことができます。

出典:埼玉県「要介護者・要支援者」

審査請求は、都道府県の介護保険審査会に申し立てます。期限があるので、迷ったら早めに市区町村へ相談してください。

原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内です。

出典:東京都福祉局「介護保険の審査請求(不服申立て)」
しやに
しやに

訪問看護で伺っていた家には、調査でふだんの様子を伝えきれず、介護度が軽く出た家もありました。家族から相談を受け、私は訪問で見ている様子をケアマネジャーに伝えました。区分変更の結果、介護度が上がり、使えるサービスも増えました。

区分変更で介護度が変わると、使える量と料金も変わる

介護度が上がると、1か月に介護保険で使えるサービスの上限が増えます。

居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。

出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」

上限が増えても、上限までサービスを使わなければならないわけではありません。

どのサービスをどれだけ使うかは、ケアマネジャーと相談して決めてください。

介護度が変わっても、自己負担の割合は変わりません。使うサービスが増えた分だけ、支払う金額が増えます。

限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担です。

出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」

1か月の支払いが増えたときに使える制度に、高額介護サービス費があります。

月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。支給を受けるためには、市区町村に申請することが必要です。

出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」

介護度によって、料金が変わるサービスもあります。

  • 訪問看護: 看護師の訪問もリハビリ職の訪問も、同じ時間なら要支援の方が要介護の方より少し安い
  • デイサービス: 要介護1から5へ重くなるほど、1回の料金が1段階ずつ上がる
  • デイケア: 要支援の方は1か月ごとの定額、要介護の方は介護度に応じた1回ごとの料金

介護度が下がると、料金も安くなります。

福祉用具のレンタルは、介護度によって借りられる物が変わります。

(「車いす」「車いす付属品」「特殊寝台」「特殊寝台付属品」「床ずれ防止用具」「体位変換器」「認知症老人徘徊感知器」「移動用リフト」)は、要支援1・2、要介護1の人は原則保険給付の対象となりません。

出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与」
区分変更で介護度が変わると、1か月に使えるサービスの上限、訪問看護やデイサービス、デイケアの料金、借りられる福祉用具が変わる。自己負担の割合(1割・2割・3割)は変わらない。
しやに
しやに

現場では、動作が楽になって介助が減っても、区分変更をしない利用者さんをよく見ます。

認定の期間が終わるまで、同じ介護度のまま過ごします。特に要支援と要介護をまたぐと、ケアマネジャーが替わることもあります。

要支援は主に地域包括支援センター、要介護は居宅介護支援事業所が担当するためです。

地域包括支援センターから委託を受けている事業所や、要支援の方も担当できる事業所なら、替わらないこともあります。

介護認定の調査のよくある質問

娘が首をかしげて考えている。頭の上の吹き出しに「お茶やお菓子は出したほうがいい?」「介護度の見込みを聞いてもいい?」。

調査員に、どの介護度になりそうか聞いてもいいですか?

Q
調査員に、どの介護度になりそうか聞いてもいいですか?
A

介護度は調査のあとに、一次判定と二次判定を経て決まります。そのため、その場で聞いても見込みは分かりません。京都市の調査員向けの資料では、調査のときに介護度の見込みを答えないよう決められています。

お茶やお菓子は出したほうがいいですか?

Q
お茶やお菓子は出したほうがいいですか?
A

お茶やお菓子の用意は、判定の材料に入っていません。介護度は、調査の結果と主治医意見書をもとに決まります。用意するかどうかは、ご家族の気持ちで決めてかまいません。

本人が調査を嫌がるときは、どうすればいいですか?

Q
本人が調査を嫌がるときは、どうすればいいですか?
A

「介護保険のサービスを使うための確認」と、手続きの話として伝えてみてください。それでも難しいときは、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると、声のかけ方を一緒に考えてもらえることがあります。サービスを早めに使う理由は、介護サービスは元気なうちから!早めに使う5つの理由と始めどきにまとめています。

入院中でも、認定調査は受けられますか?

Q
入院中でも、認定調査は受けられますか?
A

入院先の病院に調査員が来て、受けられます。退院の準備とあわせた進め方は、退院後の介護で家族が決める5つと決める順番で紹介しています。

認定調査は、何年ごとにありますか?

Q
認定調査は、何年ごとにありますか?
A

介護度には有効期間があり、切れる前に更新の申請をして、もう一度調査を受けます。新規の申請では原則6か月、更新では原則12か月です。状態によって、介護認定審査会の判断で期間が変わることがあります。

まとめ 介護認定調査のコツは、ふだんの様子をそのまま伝えること

まとめ ふだんの様子をそのまま伝える。明るい窓辺で、父と娘がお茶を手に笑顔で過ごしている。
  • 家族が立ち会う
  • ふだんの様子をメモで渡す
  • 「できる」と「している」の違いを伝える
  • 本人を否定せず、本人のいない所で補う
  • 話を盛らない
  • 結果が合わなければ、まず説明を聞く
  • 状態が変わったら、区分変更で介護度を見直す

介護認定調査は、親を「できない人」に見せる場ではありません。ふだんの暮らしで困っていることを、そのまま届ける場です。

準備をしておけば、親に合った介護サービスにつながります。

しやに
しやに

訪問看護で伺ったどの家でも、ふだんの様子を一番知っているのは家族でした。