
老人ホームに入れたいけど、毎月いくらかかるのか分からなくて不安……。

在宅で介護をがんばってきたけど、このまま続けるのはもう限界かもしれない。

自分の年金だけで、老人ホームの費用はまかなえるのだろうか。
老人ホームの費用は、入居してから「思っていたより高い」と慌てるご家族がとても多いです。
しかし、費用の全体像と公的な助成制度を知っておけば、予算に合った施設は必ず見つかります。
理学療法士として18年、訪問看護ステーションでは10年以上、ご家族のお金の悩みを間近で見てきた私が、老人ホーム費用のリアルをまとめました。
この記事を読みことで、漠然としたお金の不安が「これなら払える」という見通しに変わります。
親御さんに合った施設を、予算の面でも自信を持って選べます。
老人ホーム費用はトータルいくら?

老人ホームの費用は、大きく3つに分かれます。
入居一時金は、施設タイプによって0円から数百万円まで幅があります。
月額費用は、全国平均で15万円前後が目安です。
見落としがちなのが、実費です。
施設タイプ別の費用相場(2026年の目安)
| 種類 | 入居一時金 | 月額費用相場 | 費用が高い要因 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | なし | 8〜15万円 | 所得に応じて変動 |
| 介護付き有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 15〜35万円 | 介護・医療体制が手厚い |
| 住宅型有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 12〜25万円 | 外部サービス利用分が加算 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 敷金程度 | 10〜25万円 | 自由度が高い分サービスは別途 |
| グループホーム | 0〜数十万円 | 12〜18万円 | 認知症専門ケア |
| ケアハウス | 0〜数十万円 | 6〜15万円 | 比較的安価 |

パンフレットの月額に書かれていない「実費」が、毎月3万〜8万円ほど上乗せされることがあります。最初にここを確認すると安心です。
施設の種類の違いについては、親の老人ホーム選びで後悔しない 種類・費用・見学チェック21項目を理学療法士18年が完全ガイドで漏れなく比較しています。
老人ホームの費用 要介護度別 費用シミュレーション完全版

「結局トータルでいくらかかるの?」という疑問に、要介護度別の総額試算で答えます。
入居期間を想定した、ざっくりとした目安です。
要介護度別 総額シミュレーション
| ケース | 施設タイプ | 入居期間 | 試算総額 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | サ高住 | 5年 | 月13万円 × 60ヶ月 = 約780万円 |
| 要介護3 | 特養 | 8年 | 月12万円 × 96ヶ月 = 約1,150万円 |
| 要介護4 | 介護付き有料 | 5年 | 月28万円 × 60ヶ月 + 一時金200万円 = 約1,880万円 |
| 要介護2→4へ進行 | 住宅型→介護付き転居 | 5年 | 月15万円 × 36ヶ月 + 月28万円 × 24ヶ月 + 転居費 = 約1,250万円 |

大事なのは「総額」で考えることです。月額だけ見て決めると、入居が長引いたときに資金計画が崩れます。
費用の負担が重いと感じたら、在宅サービスを組み合わせて入居時期をずらす方法もあります。
デイサービス(通所介護)とはや通所リハビリテーション(デイケア)とは、訪問入浴サービスとはを活用すると、自宅での生活を延ばせます。
老人ホームの費用が高い3つの理由

老人ホームの費用がなぜ高いのか、理由は3つあります。
特に大きいのが人件費です。
介護施設には人員配置基準があり、入居者3名に対して職員1名以上を確保しなければなりません。
夜勤も含めて24時間体制を組むため、人件費が費用の大半を占めます。

「高い施設=ぼったくり」ではありません。職員が手厚い施設は、その分だけ人件費がかかっています。安さの裏には必ず理由があります。
費用の透明性は、施設選びでとても大切なポイントです。
見学時に確認すべき点は評判の悪い介護施設を回避する!チェックリスト21選でまとめています。
老人ホームの費用を安く抑える3つのコツ

費用は工夫次第で抑えられます。
現場で家族にお伝えしている3つのコツを紹介します。
老人ホームの種類を工夫する
要介護3以上なら、月額が抑えられる特養が候補になります。
ただし待機が長いので、並行して有料老人ホームやサ高住も検討します。
公的な助成制度を活用する
これは知らない家族が本当に多いです。
次の章で詳しく解説しますが、申請するだけで年間数十万円の差が出ることもあります。
検索サイトで複数施設を比較する
同じエリア・同じ介護度でも、施設によって月額に数万円の差があります。
最低3施設は比較すると、相場感が掴めます。

一番もったいないのが「制度を知らずに払いすぎている」ケースです。次の章は必ず読んでください。
老人ホームの費用で損する 介護費用の公的助成制度4つ

介護費用には、負担を軽くする公的な制度があります。
申請しないともらえないので、知っているかどうかで大きく差が出ます。
知っておきたい公的助成制度4つ
| 制度 | 内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 高額介護サービス費 | 月の介護自己負担に上限を設け、超えた分が戻る | 市区町村の介護保険課 |
| 特定入所者介護サービス費 | 食費・居住費を軽減する(補足給付) | 市区町村 |
| 医療費控除 | 介護費用の一部が所得控除の対象になる | 税務署(確定申告) |
| 高額医療・高額介護合算療養費 | 1年間の医療費と介護費の合算に上限を設ける | 市区町村 |
高額介護サービス費
介護保険の自己負担額が、所得に応じた月の上限を超えると、超えた分が払い戻されます。
申請は市区町村の介護保険課で行います。
(参考元:高額介護サービス費について)
特定入所者介護サービス費(補足給付)
所得や資産が一定以下の場合、施設の食費・居住費が軽減されます。
特養などの介護保険施設が主な対象です。
(参考元:特定入所者介護サービス費)
医療費控除
施設サービスの一部や、おむつ代(医師の証明があるもの)などが医療費控除の対象になります。
詳しくは訪問看護で知っておきたい医療費控除の基本と利用者支援に活かすポイントで解説しています。
(参考元:医療費控除)
高額医療・高額介護合算療養費
1年間にかかった医療費と介護費を合算し、上限を超えた分が戻ります。
医療も介護も両方使っている家庭は、特に確認する価値があります。
これらの制度は、所得や年度によって対象・金額が変わります。必ず市区町村の窓口や税務署で最新の条件を確認してください。
(参考元:高額医療・高額介護合算療養費)

私が関わったご家族でも、補足給付を知らずに年間30万円以上多く払っていた方がいました。制度は「知っている人だけ」が得をします。
制度の全体像を知りたい方は医療保険と介護保険の制度がよく分かる解説記事も参考になります。
申請や相談の窓口についてはソーシャルワーカーとはや医療ソーシャルワーカー(MSW)とはで、相談先の探し方を紹介しています。
老人ホーム費用が将来上がる?3つの注意点

入居時の費用だけでなく、将来かかる費用も見ておく必要があります。
費用が上がる要因は3つあります。
介護サービスの利用が増える
介護度が上がると、必要な介護サービスが増えて月額が上がります。
要介護2で入居しても、数年後に要介護4になれば費用は変わります。
検査や治療の外来通院が増える
高齢になると通院回数が増え、交通費や医療費がかさみます。
施設によっては通院の付き添いが別料金になります。
入院することが増える
入院中も施設の家賃・管理費は発生し続けます。
入院費と施設費の二重負担になる時期があることを知っておきましょう。

「入居時に払えるか」だけでなく「5年後も払えるか」で考えると、資金計画が崩れにくくなります。
在宅介護を続けるか施設に切り替えるかの判断は、在宅介護の限界サインとは?老人ホームを考えるタイミングについても参考にしてください。
現場で見た 老人ホームの費用で失敗した家族の3パターン

費用の判断を誤って後悔したご家族の例を3つ紹介します。
個人が特定されないよう内容を変えていますが、本質は変えていません。
月額の安さだけで選び、予算オーバーしたAさん
月額12万円の施設を「安いから」と決めました。
ところが、おむつ代・通院費・趣味活動費で毎月7万円の実費が上乗せに。
結局、月額19万円となり、当初の予算を大きく超えました。
月額だけでなく「実費を含めた総額」で比較する。
一時金を払いすぎて、退去時に大半が戻らなかったBさん
入居一時金500万円を一括で払いました。
しかし入居から1年で本人が体調を崩し、医療体制の整った施設に転居。
一時金の返還ルールを確認しておらず、戻ったのは一部だけでした。
一時金の「返還ルール」と「90日ルール」を契約前に確認する。
助成制度を知らず、年間数十万円損していたCさん
所得が一定以下だったのに、補足給付も高額介護サービス費も申請していませんでした。
ケアマネに相談して初めて制度を知り、申請後は年間40万円以上負担が軽くなりました。
入居前後に必ず市区町村の窓口で「使える制度」を相談する。

3つに共通するのは「事前確認の不足」です。費用は契約前のひと手間で、数十万円から数百万円変わります。
施設選び全体の進め方は親の老人ホーム選びで後悔しない 種類・費用・見学チェック21項目を理学療法士18年が完全ガイドにまとめています。
あなたに合った最適な老人ホームの選び方

費用を理解したら、次は自分に合った施設を選ぶ番です。
選び方の軸は3つです。
この3つを整理してから検索サイトで絞り込むと、効率よく候補が見つかります。
入居のタイミングに迷ったら老人ホームは何歳から?80代の親、そして自分の将来のために今知っておくべきことを、施設入居の判断には親を施設に入れるメリット・デメリットと後悔しない選び方を参考にしてください。
住環境の相談先は福祉住環境コーディネーターの資格紹介と相談先、介護業界の現状はマイナビ介護職の評判で確認できます。
退院後すぐに施設が必要なら、訪問リハビリテーションとはや訪問理美容サービスとはなどの在宅サービスでつなぐ方法もあります。

「予算・介護度・立地」の3つを紙に書き出すだけで、見学すべき施設がぐっと絞れます。
老人ホームの費用についてよくある質問

- Q老人ホームの費用は年金だけでまかなえますか?
- A
年金額と施設タイプによります。月額10万円台のサ高住や特養なら、年金で大部分をまかなえる場合があります。不足分は貯蓄や助成制度で補います。まずは年金額と施設の月額を並べて比較してください。
- Q入居一時金は必ず必要ですか?
- A
いいえ。特養は一時金が不要です。有料老人ホームも「一時金0円・月額やや高め」のプランを用意している施設が増えています。一時金の有無は資金計画に合わせて選べます。
- Q費用が払えなくなったらどうなりますか?
- A
すぐに退去になるわけではありません。まず市区町村の窓口で高額介護サービス費や補足給付などの制度を相談してください。生活保護の介護扶助が使える場合もあります。一人で抱えず、ケアマネや相談員に早めに相談しましょう。
- Q医療費控除はどこまで対象になりますか?
- A
施設サービス費の一部や、医師の証明があるおむつ代などが対象になります。施設タイプによって控除の範囲が異なるため、領収書を保管し、確定申告の際に税務署で確認してください。
- Q安い施設はやめておいた方がいいですか?
- A
安いこと自体は問題ありません。大切なのは「なぜ安いのか」を確認することです。立地や築年数による安さなら問題ありませんが、人員不足による安さは要注意です。見学で職員の人数と表情を確認してください。
まとめ 予算に合わせた費用で老人ホームを見つけられる

老人ホーム費用について、大切なポイントをまとめます。
費用の不安は、正しい知識で必ず軽くなります。
一人で抱え込まず、市区町村の窓口や検索サイトの相談員を頼ってください。

お金の話は後回しにされがちですが、一番先に整理すべきテーマです。見通しが立つと、施設選びがぐっと前に進みます。
あわせて読みたい関連記事
・親の老人ホーム選びで後悔しない 種類・費用・見学チェック21項目を理学療法士18年が完全ガイド
・評判の悪い介護施設を回避する!チェックリスト21選
・親を施設に入れるメリット・デメリットと後悔しない選び方
・老人ホームは何歳から?80代の親、そして自分の将来のために
・在宅介護の限界サインとは?老人ホームを考えるタイミング
・訪問看護で知っておきたい医療費控除の基本
・医療保険と介護保険の制度がよく分かる解説記事
・デイサービス(通所介護)とは
・通所リハビリテーション(デイケア)とは
・訪問入浴サービスとは
・訪問リハビリテーションとは
・訪問理美容サービスとは
・福祉住環境コーディネーターの資格紹介と相談先
・ソーシャルワーカーとは
・医療ソーシャルワーカー(MSW)とは


