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訪問看護で「保険の知識」を学ぶべき理由―実体験から感じた大きな価値

訪問看護

訪問看護の現場で働いていると、医療保険・介護保険・難病制度など、さまざまな保険制度に向き合う機会があります。
しかし、専門学校や大学では制度について学ぶ時間が限られており、就職後もリハビリや看護技術の習得が優先されるため、制度面を体系的に学ぶ機会は多くありません。

訪問看護では、1人で利用さんの自宅を訪問し、サービス提供だけでなく領収書の交付や金銭管理、保険証の確認といった事務的な役割も担う必要があります。
そこで課題となるのが、「保険制度を学ぶモチベーションをどう確保するか」という点です。

解決策として、ケアマネージャー(介護支援専門員)資格の取得がおすすめです。

資格取得を通して介護保険・医療保険の仕組みや業界全体の流れ、事業所への入金プロセスまで包括的に学べるため、視野が広がります。

知識が増えることで利用者へタイムリーに有益な情報を提供でき、信頼関係の構築にもつながります。
制度への理解が深まることで事業所運営を支える視点が身につき、職場からの評価向上も期待できます。

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医療、介護保険の知識は空白地帯

訪問看護ステーションには、看護師だけでなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など多職種のスタッフが働いています。

リハビリや看護技術については、勉強会などの研修にて情報が集まりやすく、学ぶ機会もあります。
しかし、医療保険や介護保険の仕組みについて理解しているスタッフは意外なほど少なく、学ぶ機会もないというのが、私が感じた実感です。

保険の知識がないと対応に困る現場

現場レベルでは、「利用者さんがどんな保険で訪問看護を利用しているか」を正確に把握していないスタッフも珍しくありません。
さらに、利用者さんから保険証を提示されても、

  • これは訪問看護で使える保険証なのか
  • 保険負担分はどの保険から入金されるのか
  • 上限管理票や他の訪問看護事業所との連携は必要なのか

といった点まで理解していないケースが多いです。

しかし、これらの知識は訪問看護の現場で非常に役立ちます。
例えば、保険証確認の必要性を説明できる、上限管理の意味を理解したうえで他の医療機関と情報共有できたりと、実務が一段階スムーズに進みます

ケアマネジャー資格は大きな助けに

医療保険・介護保険は膨大で、独学ではモチベーションが続きにくいものです。筆者もどこから勉強をしながらいいのか分からず、片っ端から学んだこともありました。

そんな中で私が勉強の意欲を維持できたのが、ケアマネジャー資格の勉強です。

ケアマネジャーは介護保険を主に扱いますが、医療保険にも触れられ、学習内容も幅広いものになります。

この勉強を通して、

  • 医療・介護保険の全体像を俯瞰する。
  • 難病(別表7・8など)の取り扱いポイントを整理できる。
  • 「どう考えるべきか」を自分の言葉で管理職に提案できるようになった。

といった成長と実務で役に立ったと実感しました。

現場のスキル向上と、視野を広げる力を養う学習としても非常に意味があります。

実際の医療保険ルールのトラブル

特定医療費(指定難病)受給症の場合

  • 受給者証を持っていたとしても、必ず医療保険の訪問看護になるわけではない。
  • 別表7の疾患に該当する場合は医療保険になる。
  • 別表7以外の疾患の場合は介護保険での訪問看護になるが、受給者証を利用して利用料金を調整することができる。

医療保険での訪問看護

  • 1日に介入できる事業所は1つだけ。
  • 3個所の訪問看護事業所を併用できる条件は7日/週の訪問が必要な場合のみ。

多事業所が関わる場合の算定トラブル

1人の利用者さんに、リハビリはA訪問看護ステーション、看護師はB訪問看護ステーションの場合です。

具体例として、同じ日にA訪問看護ステーションからのリハビリ訪問が終わり、B訪問看護ステーションからの看護師の緊急コールでの訪問した場合が挙げられます。

この場合は、A訪問看護ステーションは正規の報酬を算定できますが、緊急で訪問したB訪問看護ステーションは緊急訪問看護加算のみ算定でき、訪問の対価にあたる訪問看護基本療養費は算定できない事態が発生します。

また、A訪問看護ステーションからのリハビリの時間よりも早く、B訪問看護ステーションが緊急コールにて訪問をした場合に、A訪問看護ステーションからのリハビリの報酬の算定ができません。

報酬の請求時に事業所間で「話が違う」とトラブルになるケースです。

トラブルを防ぐために大切なのは「事前の取り決め」

私の経験上、最も効果があるのは次の2つです。

  1. サービスの導入時に「緊急訪問時の算定ルール」について事業所間で取り決めする。
  2. 緊急訪問が入った場合は、リハビリ訪問を当日キャンセルするなどの判断が必要であることを共有しておく

これだけで、後日のトラブルや返金対応を避けやすくなります。

こうした判断ができるようになるのも、やはり保険の仕組みを理解しているからこそです。

まとめ:保険の知識は専門職としての価値を高められる

訪問看護の利用者様は、状態・保険種別・利用サービスが一人ひとり違います。
医療保険・介護保険の知識を持っていると、以下のメリットがあります。

  • 現場判断が早くなる
  • 利用者様の負担(社会的・経済的)を正しく理解できる
  • 他事業所ともスムーズに連携できる
  • 管理職からの評価も上がる

「難しそうだから」と避けるのではなく、一度体系的に学んでみてはどうでしょうか。
特にケアマネジャー資格の勉強は、訪問看護職としての視野を広げるための非常に良い手段であり、動機づけになります。
専門職のスキルアップの方法としてケアマネージャーの資格を活用していきましょう。