訪問看護ステーションで働くスタッフにとって大切な訪問中の『お手洗い問題』。
気温が低下してくると、トイレが近くなる、お腹の調子が不安定など緊急事態の経験もあるのではないでしょうか。
訪問看護ステーションとしてスケジュールの調整や情報共有、個人としては体調管理をしていくことで緊急事態を避けられます。
この記事では私が経験した具体的な緊急事態と、個人的な具体的な対策方法を紹介していきます。
記事の内容が安全で快適な訪問看護業務に役立てていただき、安全な移動や質の高い業務につながればと思います。
外回りの多い訪問看護。お手洗い事情は深刻です。
寒さが厳しくなる季節になりました。
外回りをする訪問業務にとって、この時期に深刻なのが「お手洗い問題」です。
訪問先でトイレを借りるにも、必ずしも清潔で快適な環境とは限らず、時間の融通や失礼に当たるのではないかと思い、借りることをためらう場面もあります。
『本当に緊急事態』になればお借りするしかない、そんな状況にも直面します。
移動中にトイレを利用するのにも、訪問時間が分刻みで決まっていて、次の利用者様のお宅まで距離があるとトイレに立ち寄る時間を確保するのも簡単ではありません。
日々の業務の中で「我慢してしまう」ことが積み重なり、体調や集中力にも影響します。

訪問先での苦渋の選択
私も訪問先で苦渋の選択をしたことがあります。
職場の同僚と焼肉店に行き、アルコールを飲み、しっかりとお肉を食べました。リハビリの話で盛り上がりその日は楽しく帰宅しました。
翌日1件目の訪問先にてリハビリを提供していた際に、緊急事態が突然やってきました。便意です。
波のように押し寄せてくる便意に耐えていましたが、ついに限界を迎えました。
利用者様に事情を伝えてトイレに入りました。トイレの中は惨状が広がっていました。正直言葉にするのができません。
認知機能面の低下により衛生観念がないため仕方が無い事情があります。
綺麗とはいえないトイレをお借りすることに対して抵抗感もあります。
しかし、昨夜のお肉でお腹を崩していた私には選択肢はありません。
洋式トイレですが、便座を上げ、中腰の姿勢でどうにか用を済ますことはできました。
利用者さんの体調管理については敏感になりますが、自分自身の体調管理ができていなかった苦い経験となりました。

公衆トイレや店舗トイレも頼りにくい現状
「訪問の途中でコンビニに寄ればいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、住宅街の訪問エリアでは店舗が少ないことも多く、公衆トイレの数も限られています。
近年では防犯や衛生管理の観点から、コンビニエンスストアでのトイレ貸出を制限している店舗も増えています。
結果として、訪問の合間にトイレを利用できる場所が限られています。
立ち寄り先を探すために時間を取ると、訪問スケジュールが過密になり、焦りやストレス、交通事故のリスクも増えてしまいます。
お手洗い事情は、単なる「不便さ」ではなく、安全やケアの質にも関わる大切な課題です。
訪問看護ステーションとしての対策・工夫
「お手洗い問題」をチーム全体で考えることも大切です。
1. 訪問スケジュールに『トイレ休憩』を組み込む
訪問スケジュールを作成する際は、移動時間だけでなくトイレ休憩の時間も事前に確保します。
1件1件の訪問の合間に少しの余裕を持たせることで、無理なく安全に業務が行えます。
また、天候や交通状況によって柔軟に調整できる体制も大切です。
2. 安心して立ち寄れる場所を共有
スタッフ間で、公衆トイレや店舗など清潔で利用しやすい場所の情報を共有しています。
訪問エリアごとに安心して利用できるルートを確保できます。
3. 冬場の冷え対策と体調管理
体を冷やさないように、防寒インナーやカイロ、温かい飲み物を携帯をします。
冷えによる頻尿や体調不良を防ぎ、業務中も快適に過ごせます。
普段からできるセルフケアで安心して業務を行なう
チーム全体の工夫だけでなく、個人による体調管理や生活習慣からも予防できます。
- 食生活と食事時間を整える
消化の良い食事を心がけ、食物繊維や水分を適度に摂取します。 - 体を温める飲み物を選ぶ
冷たい飲み物は控えめにし、温かい飲み物で体を内側から温める。防寒着をしっかりと身に付け、体温が逃げにくいようにする。
- 睡眠とストレスケアを大切に
睡眠不足やストレスは自律神経を乱し、排泄リズムにも影響します。しっかり休息を取り、心の余裕を保つことも仕事の質を支える一歩です。
- 運動の習慣を持つ
ヨガ、ウォーキングやストレッチなど、体を動かす機会を意識的に作り、代謝と腸の動きを促進します。
こうした日々の積み重ねが、寒い季節も我慢せず快適に働くための土台になります。

まとめ:ケアの質を守るために、看護師自身の健康を大切に
訪問看護は、利用者様の「暮らしを支える」仕事です。そのためには、私たち自身の健康と安全が前提になります。
お手洗いという身近なテーマも、実は業務の質や安全に直結する大切な課題。
これからも『我慢しない訪問看護』を合言葉に、働きやすく、安心してケアに専念できるようにしていきましょう。


