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【保存版】理学療法士という選択肢は”経済的に”アリなのか?〜年収・将来性・職域から考えるリアルなキャリア設計〜

制度
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私は理学療法士として15年以上、臨床現場・訪問・教育など様々な現場で働いてきた社会人です。

この記事では、理学療法士を将来の職業として考えている方、また転職先として検討している社会人の方に向けて、経済的な観点から理学療法士という職業の「リアル」をお伝えします。

結論から言えば、理学療法士は経済的に楽な道ではないけれど、考え方と行動次第で十分安定も成長も狙える職業です。

ただし、甘い夢を抱いて進むと現実にギャップを感じるかもしれません。そのため、本記事では以下の3つの観点から深掘りします。

1. 理学療法士の供給過多と就職の現実

■ 理学療法士は増えすぎている?

理学療法士は今や全国で約21万人。ここ10年で毎年1万人規模の増加が続き、明らかな供給過多状態にあります。

背景には、2000年代以降に養成校が急増し、国家試験の合格率も90%前後と高いことがあります。

かつては理学療法士=就職に困らない資格でした。しかし現在は、**「理想の職場に入るのは狭き門」**と言わざるを得ません。

実習生の時に聞いた話では40年先の先輩は年収600万円越えということも耳にしました。

特に新卒者にとっては、以下のような事実が壁になります。

  • 病院やクリニックなど人気職場は競争率が激化
  • 従来のスケジュール感では内定獲得が難しい
  • 魅力ある求人は早期募集が中心、情報戦が重要

■ じゃあ転職者はもっと不利?

実は一概にそうとも言えません。

社会人経験者ならではのビジネスマナー・対人スキル・責任感を重視する職場も多く、キャリアの軸がしっかりしていれば、むしろ新卒より有利になるケースもあります

2. 年収の現実と限界 ― 診療報酬に縛られる構造的問題

■ 年収の推移は?

まず、過去数年の平均年収推移を見てみましょう。

年度平均年収(概算)
2017年約405万円
2021年約427万円
2024年約432~460万円(調査により幅あり)

5年間で約20~30万円の増加。これを「順調」と捉えるか、「物価上昇に追いついていない」と見るかで、理学療法士の将来への評価は分かれるでしょう。

ちなみに初任給は約24.6万円と、大学卒の平均より少し高いです。20代での平均年収は約364万円、30代で430万円前後となっています。

■ では、なぜ大きくは伸びないのか?

最大の理由は診療報酬・介護報酬に依存する給与構造にあります。

▸ 理学療法士の収入は“国の制度”に握られている

医療機関や介護施設の売上は、理学療法士の行うリハビリ1単位あたりの報酬(診療報酬や介護報酬)に基づいています。そのため、

  • 報酬が引き下げられれば→施設の売上減少→給与や昇給の抑制
  • 報酬が据え置かれれば→収入は横ばい
  • 報酬が上がっても→労働量に上限があるため限界がある

という三重苦に陥ります。

▸ 技術や努力が反映されにくい現実

ベテランでも新人でも、「1単位の価値」は同じ。つまり、

いくら技術があっても、時間単位での報酬には上限がある

というのが最大の壁です。

もちろん、患者様や利用者様やご家族様には感謝されることで仕事のやりがいを感じることがあります。しかし、報酬が同じというのは感情抜きで考えると、やるせなさを感じます。

3. それでも選ぶべき理由は?広がる職域とキャリア多様性

理学療法士の未来が暗いだけかといえば、全くそんなことはありません。実は今、職域はものすごい勢いで拡大しています。

働き方を“ひとつ”に限定しない——副業によるキャリアの多角化も選択肢に

理学療法士としてのキャリアは、必ずしも「1つの職場で一生働く」という従来の働き方に限られていません。近年では、副業解禁の流れや個人のスキル発信のしやすさもあり、理学療法士という専門性を活かして副業に取り組む人が増えています

特に注目されている副業・複業スタイルには、以下のようなものがあります。


■ オンラインでの知識発信・指導

YouTubeやSNS、ブログで、リハビリや身体のケアに関する情報を発信することで収益化を図る動きが広がっています。中には書籍化や講演依頼につながる事例もあります。

■ パーソナルトレーナー・整体業との両立

理学療法士の知識を応用し、パーソナルトレーニングや整体・ボディケア業を副業として行う人も増加中。働く場所や時間を自分で調整できる点が魅力です。

■ オンライン講座・セミナー講師

後進育成や一般向けの講座をオンラインで提供し、教育分野にキャリアを広げるケースもあります。特に最近は、個人がプラットフォームを使って学習コンテンツを販売する機会が広がっています。

■ イラスト・物販・コンテンツ制作などの異業種チャレンジ

リハビリの現場経験を活かして、高齢者向け体操カードを自作販売したり、教育用のイラスト素材を作成して販売するなど、スキルとアイデアを掛け合わせた独自の収入源を確立する人もいます。


キャリアの“安心”は1本の収入源からは生まれにくい時代

理学療法士の年収が、制度(診療報酬・介護報酬)の影響を強く受けやすい構造にあることは前述の通りです。こうした環境では、「収入源が1つだけ」という状態はリスクにもなり得ます

副業を通じて収入の柱を複数持つことで、経済的な安心感が生まれ、長期的なキャリア設計にも柔軟性が持てるようになります。また、本業とは違う領域で得られる経験が、逆に理学療法士としての視野や発信力を広げることにもつながるでしょう。

副業を始めるうえで意識したいポイント

  • 職場の就業規則(副業可否)を必ず確認する
  • 本業に支障をきたさない時間・労力で始める
  • 「好き×専門性」のかけ合わせを意識する(例:子どもが好き→小児向け体操動画配信)

副業という選択肢は、今や限られた人だけのものではありません。理学療法士という国家資格を活かしながら、「自分らしい働き方」を創造する時代が、すでに始まっています。

■ 医療・介護以外にもこんなフィールドが!

分野内容
スポーツアスリートのリハビリ・パフォーマンス向上
企業健康経営・社員の健康管理・産業保健
在宅・訪問利用者宅で生活に即したリハビリ
教育・研究大学や専門学校での教育・研究職
行政地域健康事業・介護予防の推進
起業・独立訪問リハ・自費リハ・フィットネス併設施設など
海外事業国際協力・技術指導・海外赴任など
動物リハペットや動物医療分野(新興領域)

このように、理学療法士は今や医療職でありながら“社会インフラ”としての役割も求められています。

■ 年収も職域次第で変わる?

たとえば…

  • 自費リハビリやパーソナルトレーナー:顧客単価が高く、月50万円以上も可能
  • 産業保健や大手企業系の健康管理室:年収500万円以上も珍しくない
  • 起業や訪問看護ステーション開業:月収100万円超も現実的
  • 教育機関(大学教員):年齢・役職により年収700万円以上も視野に

つまり、診療報酬に縛られない働き方を構築できるかどうかが、理学療法士としての経済的自由の鍵となります。

4. 結論:「理学療法士で食えるか?」に対する正直な答え

■ 安定志向なら「平均的な生活はできる」

理学療法士は国家資格であり、景気の波を受けにくい職業です。

特に医療・介護の現場においては、高齢化が進む日本では今後も一定の需要があります

ただし、

  • 収入は天井が低め
  • 努力が収入に直結しにくい
  • 報酬制度に大きく左右される

という「構造的な限界」は理解しておく必要があります。

■ 成長志向なら「フィールドを自ら選べる時代」

もし、あなたが

  • 人と関わるのが好き
  • 健康・身体・運動に興味がある
  • 社会貢献と収入の両立を目指したい

という思いを持っているなら、**理学療法士は挑戦できる“武器”**になります。

鍵は、

  • 早くから情報を集める(就職活動も含め)
  • 受け身ではなく「創り出す」思考を持つ
  • 医療外の知識(ビジネス・マーケティングなど)も学ぶ

ことです。

おわりに ― 資格を「人生の入口」にできる人が伸びる

私自身も、最初は「手に職をつけたい」という理由だけで理学療法士になりました。

結婚し、子どもが生まれたことで収入面で不安を感じたことも多々ありますが、それでもここまで続けられたのは、人の役に立てる実感と、職域の広がりがあるからです。

もしあなたが、**経済的な不安から理学療法士の道を迷っているなら、「資格=安定」ではなく「資格=スタート地点」**と捉えてみてください。

理学療法士という道は、**考え方と行動次第で“生涯価値の高いキャリア”**になります。

こんな人には理学療法士をおすすめしません

  • 「資格があれば将来安泰」と考えている人
  • 医療現場に強いこだわりがある人(職域が狭くなるため)
  • 年収600万円以上を早期に目指したい人

こんな人にはおすすめです!

  • 人の身体や生活改善に本気で関わりたい
  • 多様な働き方(在宅・教育・起業など)に興味がある
  • 安定と挑戦のバランスを取りたい

理学療法士は、誰にでも向いている職業ではありません。
でも、うまく使えば”一生使える武器”にもなり得ます。

この記事が、あなたのキャリア選択の一助になれば幸いです。