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【解説】リハビリテーションの歴史について

制度
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リハビリテーションの歴史は古く、その起源は古代ギリシアにまで遡ります。しかし、現代的な意味でのリハビリテーションが発展したのは比較的最近のことです。

世界におけるリハビリテーションの歴史

リハビリテーションという言葉は中世ヨーロッパで生まれました。
1456年、ジャンヌ・ダルクの無実が証明された際に、「再び適したものにする」という意味で使用されたのが始まりです。

18世紀になると、フランスを中心に運動療法を取り入れたリハビリテーションプログラムが提唱され、科学的アプローチが導入されました。

現代的な医学的リハビリテーションが本格的に発展したのは20世紀に入ってからです。
1917年、第一次世界大戦中にアメリカの陸軍病院で「身体再訓練」(現在の機能訓練)が導入されたことが、医学におけるリハビリテーションの始まりとされています。

日本におけるリハビリテーションの歴史

日本のリハビリテーションが第二次世界大戦後から発展した背景には、以下のような要因がありました。

1. 米国の影響

第二次世界大戦後、日本は米国の占領下に置かれ、医学的リハビリテーションが本格的に導入されました。

米国からリハビリテーションの理念・理論、方法が急速に日本に導入されたことが、発展の大きな契機となりました。

2. 行政主導の取り組み

戦後の日本では、行政が主導してリハビリテーションの基盤を整備しました:

  • 1947年:児童福祉法の制定により、各県に肢体不自由児施設の設置が義務付けられました。
  • 1949年:身体障害者福祉法の制定により、国立身体障害者更生指導所などが設立されました。
  • 1960年:厚生白書で医学的リハビリテーションが重要部門として初めて言及されました。

3. 社会的需要の増加

戦後の日本社会では、以下のような要因でリハビリテーションの需要が高まりました:

  • 戦傷者に対するリハビリテーションの必要性
  • 脳卒中が死亡率の第一位となり、新たな国民病として認識されたこと
  • 一般的な障害者の問題が社会問題として取り上げられるようになったこと

4. 医療施設の整備

1950年代後半以降、様々な医療施設でリハビリテーションが行われるようになりました:

  • 温泉病院:脳卒中のリハビリテーションが盛んに行われました。
  • 労災病院:脊髄損傷のリハビリテーションが実施されました。
  • 国立療養所:脊髄損傷、結核、らいなどのリハビリテーションが行われました。

5. 専門職の育成

リハビリテーション医療の発展に伴い、専門職の育成も進められました:

  • 1963年:日本初の理学療法士・作業療法士養成校が開校しました。
  • 1965年:「理学療法士及び作業療法士法」が施行されました。
  • 1966年:初めての国家試験が実施され、日本初の理学療法士が誕生しました。

まとめ

これらの要因が相互に作用し、日本のリハビリテーションは第二次世界大戦後から急速に発展していきました。

その結果、現在では世界的に見ても高い水準のリハビリテーション医療が提供されるようになっています。

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