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【紹介】リハビリにおける『ボイタ法』について

訪問看護
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ボイタ法はチェコの小児神経学者ヴァーツラフ・ボイタ教授が1950-60年代に確立した神経発達学的アプローチで、乳幼児の正常運動発達を分析し体系化した治療法です。

脳性麻痺をはじめとする運動障害の治療に用いられ、反射性移動運動を利用して協調的な筋活動を引き出す点が特徴です。

基本概念と治療原理

神経発達学的基盤
生後1年半で獲得する寝返り・四つ這い・歩行などの運動パターンを「正常運動発達」と定義。
これらの動作に必要な筋活動を詳細に分析し、反射的に誘発する手法を開発しました。

反射性移動運動
2種類の基本パターンを用います:

  1. 反射性寝返り運動
    • 1相(仰向け起始)と2相(横向き起始)に分類
    • 横隔膜刺激による呼吸促進と脊柱回旋運動を誘導
  2. 反射性腹這い運動
    • うつ伏せ姿勢から四肢の協調運動を引き出し
    • 7つの誘発帯(刺激ポイント)を使用
運動種類主な作用適用年齢
寝返り運動呼吸機能改善・体幹回旋乳児期~成人
腹這い運動四肢協調・抗重力伸展3ヶ月~学童期

実施方法

基本手順

  1. 出発肢位(開始姿勢)の設定
  2. 誘発帯への持続的圧刺激(5-10秒間)
  3. 反復実施(1日4回×15分が標準)

具体的な刺激部位例

  • 上腕骨内側上顆(肘内側)
  • 大腿骨内側上顆(膝内側)
  • 肩甲骨内縁下部
  • 上前腸骨棘(骨盤前部)

臨床応用

対象疾患

  • 脳性麻痺
  • 発達遅滞
  • 脳卒中後遺症
  • 脊柱側弯症

効果発現メカニズム

  1. 脊髄レベルの反射回路の活性化
  2. 姿勢筋群の協調的収縮パターンの再教育
  3. 運動学習による長期効果の定着

症例別アプローチ

  • 乳幼児期:発達促進と二次障害予防
  • 学童期:姿勢制御とADL向上
  • 成人期:疼痛管理と機能維持

実践的ポイント

家族指導の重要性
治療効果を高めるため、保護者が家庭で1日4回の実施を推奨。

大阪府立大手前整肢学園では4週間の親子入園プログラムで指導体制を整備。

自主訓練システム

  • 簡易化した出発肢位の設定
  • セルフモニタリング用チェックリスト
  • 週1回の治療者による進捗評価4

留意点

  1. 疼痛管理:過度な刺激は筋緊張亢進を招くため禁忌
  2. 発達段階の考慮:年齢に応じた目標設定が必要
  3. 包括的アプローチ:遊びや日常生活活動との統合が重要

エビデンスと課題

1950年代の「脳性麻痺治癒」説は否定されましたが、2010年代の研究で運動学習効果と神経可塑性への影響が確認されています。

ただし、効果持続には継続的な実施が必須で、治療中断による機能退行のリスクが指摘されています。

臨床現場では、ロボットスーツHAL®などの最新技術と組み合わせたハイブリッド療法も試みられ、従来の限界を超える可能性が探られています。
治療選択にあたっては、患者のライフステージと家族の協力度を総合的に評価することが重要です。

受けられる医療機関

ボイタ法を受けられる具体的な医療機関は以下の通りです。

関西地方

  1. 大阪府済生会吹田病院
    • 小児神経科医が監修するボイタ法治療を提供。
    • 運動障害や発達遅滞の改善を目的としたリハビリテーションが行われています。
  2. 大阪赤十字病院
    • ボイタ法を含む理学療法を提供。
    • 家族への生活指導や家庭でのリハビリ継続も支援。
  3. 大阪赤十字病院附属大手前整肢学園
    • 専門的なボイタ法治療を実施。
    • 親子入院プログラムで家庭での実践方法も指導。
  4. 京都市 中京区 やもりクリニック
    • 小児リハビリテーションに特化し、ボイタ法を活用して体幹機能改善を目指す治療を提供。

中部地方

  1. 島田市立総合医療センター(静岡県)
    • 総合病院ながら、乳幼児の発達促進のためにボイタ法を活用。
  2. 静岡済生会療育センター令和
    • ボイタ法やボバース法による訓練が可能。
    • 医療型障害児入所施設として、幅広い支援を提供。

その他地域

  • 他地域でもボイタ法を提供している施設は存在しますが、特定の情報がない場合は、地域のリハビリテーション専門施設に問い合わせることをおすすめします。

これらの医療機関では、運動障害や発達遅滞などの症状に応じた個別治療が行われており、家庭での継続的な実施も重要視されています。予約制の場合が多いため、事前に問い合わせることを推奨します。

学ぶには

ボイタ法の認定試験については、以下の詳細が挙げられます。

認定試験の概要

ボイタ法セラピストとして認定を受けるためには、国際ボイタ協会が主催する講習会(A・B・Cコース)をすべて受講し、その後に行われる認定試験に合格する必要があります。

講習会と試験の流れ

  1. 講習会の受講
    • Aコース(15日間):基礎理論と基本的な実技を学ぶ。
    • Bコース(15日間):応用的な理論と実技を学ぶ。
    • Cコース(10日間):総合的な技術と臨床応用を学ぶ。
    • 全コースを修了するまでに約1年半~2年が必要。
  2. 認定試験の内容
    • 筆記試験:ボイタ法の理論や運動学的知識に関する問題。
    • 実技試験:患者への適切な治療手技ができるかを評価。
    • 症例発表:受講期間中に行った治療ケースをまとめ、発表する。
  3. 試験基準
    • 理論と実技の両方で一定以上の評価を得ることが求められる。
    • 試験官は国際ボイタ協会から派遣された専門家が務める。

注意事項

  • 試験に合格すると、国際ボイタ協会から正式なセラピスト認定証が授与されます。
  • 万一不合格の場合、再受験が可能ですが、再度一部または全コースを受講する必要がある場合があります。

対象者

  • 理学療法士(PT)または作業療法士(OT)で、臨床経験2年以上の方が対象です。

費用

  • 各コースの受講料は約180,000円(税込)で、3コース合計で約540,000円程度必要です。

その他

試験準備には、理論的な知識だけでなく、実際の患者への治療経験やケーススタディが重要です。特に症例発表では、自身の治療プロセスや結果を論理的に説明する能力が求められます。

まとめ

ボイタ法は、人間が生まれながらに持つ運動パターンを再活性化させる治療法として、脳性麻痺や発達障害など幅広い疾患に対応可能です。専門家による指導と家庭での継続的な訓練によって効果が高まり、患者の日常生活や社会参加への貢献が期待されています。

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