訪問看護ステーションの開業には、以下の手順と条件が必要です。
初心者の方にも分かりやすいよう、時系列に沿って詳細に説明します。
申請について
1. 法人設立
まず、訪問看護ステーションを運営するための法人を設立します。
- 法務局で「商業・法人登記申請」を行います。
- 一般的に株式会社や合同会社が選ばれることが多いです。
2. 事務所の確保
次に、訪問看護ステーションの事務所を確保します。
- 事務所、相談室、感染予防設備(手洗い場)が必要です。
- 事務所と相談室は同じ部屋でも可能ですが、パーテーションで区切る必要があります。
- 看護職員の人数分以上の駐輪場や駐車場も確保しましょう。
3. 人員の確保
指定基準を満たす人員を確保します。
- 少なくとも3人以上の看護師を採用する必要があります(自身が看護師として働く場合は2人以上)。
4. 指定申請の準備
指定申請に向けて準備を始めます。以下は東京都の例です。
- 指定月の4ヶ月前末日までに:新規指定前研修の申し込みを行います。
- 指定月の3ヶ月前:新規指定前研修を受講します。
5. 指定申請書類の準備
必要な申請書類を準備します。主な書類は以下の通りです:
- 指定申請書
- 事業所の指定に係る記載事項
- 法人の登記簿謄本
- 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 事業所の平面図、写真
- 運営規程
- 各種誓約書
6. 指定申請の提出
- 指定月の2ヶ月前15日を目途に:準備した申請書類を管轄の自治体に提出します。
7. 指定前実地調査
- 指定月の前月:必要に応じて、自治体の職員が事業所を訪問し、現地確認を行います。
8. 指定通知書の受領
- 指定月の前月末日まで:問題がなければ、指定通知書が発送されます。
9. 事業開始
- 指定通知書に記載された指定年月日から、訪問看護ステーションの事業を開始できます。
注意点
- 指定の有効期限は6年間で、更新が必要です。
- 申請手続きは自治体によって異なるため、開業予定地域の自治体ホームページで確認することが重要です。
資金面
訪問看護ステーションの開業に必要な資金は、おおよそ1,300万円程度です。
この金額は主に以下の2つの要素から構成されています:
- 開業資金:約500万円
- 法人設立費:約30万円
- 事務所物件取得費:約50万円
- 備品購入費:約150万円
- 訪問用車両購入費:約200万円
- 求人・宣伝広告費:約40万円
- ホームページ制作費:約30万円
- 運転資金:約780万円
- 人件費:約630万円(3名分の6ヶ月分)
- 家賃:約60万円(6ヶ月分)
- 水道光熱費:約12万円
- 駐車場料金:約18万円
- ガソリン代:約18万円
- 通信費:約12万円
- 請求ソフト:約12万円
- その他諸経費:約18万円
運転資金は、事業が軌道に乗るまでの約6ヶ月分を見込んで計算されています。
開業資金を抑えるために、経営者の給与を一時的に控えたり、中古品を活用したりする方法もありますが、経済的な余裕を持って利用者のケアに集中できるよう、十分な資金を準備することが推奨されます。
なお、これらの金額は目安であり、開業エリアや規模によって変動する可能性があります。
まとめ
訪問看護ステーションを設立するために必要な心構えは以下のようにまとめられます:
- 明確なビジョンを持つ
- 「どうして訪問看護をやろうと思ったか」を言葉にする
- どんなステーションになりたいか、どんな利用者を支えたいかを明確にする
- 綿密な計画と準備
- 事業開始日を決め、具体的なスケジュールを立てる
- 資金計画を慎重に立て、自己資金は開業資金全体の最低20%を確保する
- 運転資金を余裕を持って確保する
- 地域ニーズの把握
- 地域の医療・介護環境を十分に調査する
- 地域密着型のサービスを提供できる強みを活かす
- 人材確保と育成
- 看護師不足に備え、魅力的な労働環境を整える
- 採用活動を早めに開始し、人員基準を満たせるよう準備する
- 経営者としての視点
- 看護の専門性だけでなく、経営者としての知識も身につける
- 報酬改定や業界動向に常に注意を払う
- 長期的視野
- 開設から2年以内の廃業リスクを認識し、持続可能な運営を目指す
- 継続的な学習と経験の蓄積を心がける
- 柔軟な対応力
- 計画通りに進まないことを想定し、状況に応じて柔軟に対応する準備をする
- 質の高いケアの提供
- 利用者一人ひとりに寄り添う、きめ細やかなケアを心がける
これらの心構えを持ち、十分な準備期間(6ヶ月から1年)を設けて、着実に準備を進めることが訪問看護ステーション設立の成功につながります。