歩行補助具は、歩行が困難になった方の移動をサポートする重要な道具です。
高齢者や怪我、病気などで歩行に不安がある方にとって、安全で快適な生活を送るための必需品といえます。ここでは、歩行補助具について初心者の方にもわかりやすく解説します。
歩行補助具の役割と重要性
歩行補助具の主な役割は、以下の2つです:
- 支持:歩行を補助し、身体機能の代償をする
いわゆるバランス能力が低下している、歩行における不安感が強くなっている利用者さんが利用されることが多い印象です。 - 保護:足や膝への負担を軽減し、転倒を予防する
体重を脚に乗せると痛みを感じる場合に、歩行補助具利用して脚にかかる体重を分散させるために利用する方法です。
年齢を重ねると筋力が低下したり、関節が痛むようになり、歩行が困難になる方が多くなります。
歩行補助具を使用することで、足腰への負担を軽減し、バランスを保つことができます。
歩行補助具を適切に使用することで、以下のメリットがあります:
- 安定した歩行が可能になる
- 転倒のリスクを大幅に下げる
- 骨折などの重大な怪我を予防する
- 自立した生活を維持する助けとなる
歩行補助具の種類
歩行補助具は大きく分けて「歩行器」と「杖」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
歩行器
歩行器は、両手で支えて使用する補助具です。主に以下の3種類があります:
サークル歩行器
- 特徴:前腕部で支持する型で安定性に優れている
- 適している人:高齢者、全身の筋力低下や立位バランスの低下した方
- 使用環境:整備された環境(主に屋内)
病院などの医療機関や施設で利用されることが多い歩行器になります。歩行器の幅があるため、通路幅がある建物でなければ利用はしにくいものになります。また、タイヤが小型であり、段差や不整地において使い心地が悪くなります。歩行器そのものも重量があり、持ち上げることが難しいため、在宅での使用例は少なくなります。
ピックアップウォーカー(PUW)
- 特徴:歩行器全体を持ち上げて前方に移動する
- 適している人:高齢者の早期離床や一側下肢の部分免荷が必要な方
- 条件:肩や肘の筋力が保たれていること、立位が安定していること
主に膝関節の痛みを強く感じる利用者さんが膝への荷重量を調整するために、活用されることが多く感じます。比較的歩行器そのものの、重さが軽いため、室内の段差を乗り越えることも容易になりやすいです。歩行器の4つの脚を平らな床に置くことが必要になるため、部屋の床の状況の確認が必要になります。
シルバーカー
- 特徴:日本独自の屋外歩行車、座って休憩や荷物を入れることができる
- 適している人:歩行補助がなくても歩行可能な方。
一般的にイメージされることが多い、歩行器になります。バランス能力がある程度あるのが前提で、座って休憩することができる、荷物の運搬のために購入されることが多いです。
介護保険の適応があるシルバーカー
シルバーカーによっては介護保険の貸与(レンタル)の対象商品もあります。
月々数百万円でレンタルすることができ、故障時も交換にて対応してくれます。
長期間利用する場合は購入するほうがお得ですが、変化する身体、動作能力に合わせて変更できることがレンタルできる利点になります。
杖
歩行補助具の選び方
歩行補助具を選ぶ際は、以下の点を考慮することが重要です:
- 使用目的と環境
- 主に室内で使用するか、屋外で使用するか
- 段差や凹凸のある場所で使用するか
- 使用者の身体状況
- 筋力や関節の状態
- バランス能力
- 握力や上肢の力
- 素材と重量
- 木製:質感が良く、高級感がある
- アルミ製:軽量で丈夫
- カーボン製:最も軽く、振動吸収に優れている
- 形状
- T字型:床面積が広く安定性に優れ、屋内向け
- L字型:屋外の凹凸での使用に適している
- グリップ
- 握りやすい形状を選ぶ
- 滑り止め加工があるとより安全
- 高さ調節
歩行補助具の使い方
歩行補助具を安全に使用するためには、正しい使い方を理解することが重要です。以下に、基本的な使い方を説明します。
歩行器の基本的な使い方
- 歩行器を少し前に出す
- 歩行器に両手をかけて体を支える
- 片方の足を踏み出す
- もう片方の足を踏み出す
この動作を繰り返します。歩行器は両手で支えるため、杖よりも安定性が高くなります。
歩行補助具のメンテナンス
歩行補助具を長く安全に使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。以下の点に注意しましょう:
- 杖の滑り止めゴムが減ったら交換する
- ネジやボルトの緩みがないか確認する
- 折りたたみ式の場合、折りたたみ機構が正常に動作するか確認する
- キャスターや車輪がスムーズに動くか確認する
- フレームに亀裂や変形がないか確認する
古びた歩行補助具は安全性が低下するため、定期的な点検と必要に応じた交換が重要です1。
介護保険と歩行補助具
要介護認定を受けている場合、介護保険が適用され、歩行補助具の費用負担が軽減される場合があります。介護保険が適用される歩行補助具には、歩行器や歩行補助杖が含まれています。利用を希望する場合は、以下の手順を踏みましょう:
- 指定居宅介護支援事業者や地域包括支援センター(ケアマネージャー)に相談する
- 適切な歩行補助具の選定を受ける
- レンタルや購入の手続きを行う
事前に確認することで、経済的な負担を軽減しながら適切な歩行補助具を利用することができます。
歩行補助具の選定と専門家のサポート
歩行補助具を初めて選ぶ際は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。福祉用具専門相談員や理学療法士などの専門家は、以下のようなサポートを提供してくれます:
- 身体状況や生活環境に合わせた適切な歩行補助具の選定
- 正しい使用方法の指導
- 適切な高さ調整のサポート
- 安全な歩行技術の指導
専門家のサポートを受けることで、より安全で効果的な歩行補助具の使用が可能になります1。
まとめ
歩行補助具は、歩行が困難になった方の生活の質を大きく向上させる重要なツールです。
種類や特徴を理解し、自分の状況に合った適切な歩行補助具を選ぶことが大切です。また、正しい使用方法とメンテナンスを心がけることで、安全で快適な生活を送ることができます。歩行に不安を感じたり、長距離の歩行が困難になってきたと感じたら、早めに歩行補助具の使用を検討しましょう。
専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った歩行補助具を見つけることで、より安全で自立した生活を送ることができます。歩行補助具は単なる道具ではなく、あなたの生活をサポートするパートナーです。適切な選択と使用により、より豊かで活動的な日々を過ごすことができるでしょう。
以上、参考になれば幸いです。