日常生活において、体調が悪いときやインフルエンザの予防接種をする際に使用する体温計ですが、その成り立ちや構造について知る機会は少ないように感じます。
そこで体温計について詳しく説明していきます。
体温計の歴史
体温計の歴史は、17世紀初頭にイタリアのサントリオ・サントリオによって考案されたことに始まります。
彼はガリレオ・ガリレイの温度計の発明に触発され、体温を数値化するための装置を開発しました。最初の体温計は、ガラス管と水を利用して体温を測定するものでしたが、正確性には欠けていました。
18世紀になると、ドイツで水銀を利用した体温計が開発され、より正確な測定が可能になりました。
19世紀には、カール・ヴンダーリッヒが病気と体温の関係を研究し、体温測定が医学的に重要であることを示しました。彼の研究により、体温計は医療現場で広く使用されるようになりました。
20世紀初頭、日本でも国産の水銀体温計が開発されました。第一次世界大戦中に輸入が途絶えたことで、自国での製造が進みました。
1980年代には電子体温計が登場し、水銀体温計よりも安全で短時間で測定できるようになりました。この進化により、体温計は家庭や医療現場で不可欠な道具となっています。
水銀体温計
使用方法
正確な測定のためには、以下の点に注意が必要です:
- 体温計の先端を脇の下の中央のくぼみの奥に深く挿入する。
- 測定中は体温計の位置を動かさないように固定する。
- 5〜10分以上しっかりとはさんでおく必要がある1。
注意点
- 水銀体温計は破損しやすいため、取り扱いには注意が必要です。
- 破損した場合、水銀が漏れ出す可能性があるため、適切な処理が必要となります。
現状と廃棄
水銀の健康被害や環境汚染のリスクから、世界的に水銀製品の規制が進んでいます。
- 日本では2020年末までに水銀体温計の製造が中止されました。
- 使用しなくなった水銀体温計は、各自治体が定めた方法に従って分別廃棄する必要があります。
歴史
水銀体温計は長い歴史を持ち、日本では1923年頃から製造が始まりました。約90年にわたって広く使用されてきましたが、2023年10月現在、多くのメーカーで販売が終了しています。
水銀体温計は高い精度と信頼性で長年愛用されてきましたが、健康と環境への配慮から、現在では電子体温計などの代替品に移行しつつあります。
電子体温計
電子体温計は、従来の水銀体温計に代わる現代的な体温測定器具です。以下に電子体温計の特徴や使用方法について詳しく説明します。
特徴
- デジタル表示で読み取りが容易
- 測定時間が短い(通常1〜3分程度)
- 安全性が高い(水銀を使用していない)
- 多くの製品で防水機能あり
種類
電子体温計には主に以下の種類があります:
- わき式
- 口中式
- 耳式
- 非接触式(額測定)
使用方法
わき式電子体温計の場合
- 体温計の電源を入れる。
- 表示部に「Lo」や「L°C」などが表示されたら、測定準備完了。
- 体温計をわきの中心に当てる。
- 体温計を下から少し押し上げるようにして、わきをしっかり閉じる。
- 測定中は体や体温計を動かさないよう注意する。
- 電子音が鳴り、測定結果が表示される。
注意点
- 汗をかいている場合は、拭き取ってから測定する。
- 下着に触れないようにする。
- 食事、入浴、運動の後は30分以上経ってから測定する。
非接触式体温計
非接触式体温計は、額の表面から放射される赤外線を測定し、体温を算出します。
- 測定センサーを額に垂直に向ける。
- 額と測定センサーの距離を約0.5〜3cmに保つ。
- 測定ボタンを押して離す。
- 約1秒で電子音が鳴り、測定結果が表示される。
データ管理
一部の電子体温計では、スマートフォンアプリと連携して体温データを管理できる機能があります。
メンテナンス
- 使用後は消毒用アルコールで清掃する。
- 防水機能がある場合は水洗いも可能。
- 電池の残量に注意し、適宜交換する。
まとめ
日常生活において利用することが多い体温計ですが、歴史を詳しく紐解くと便利になっていることが感じられます。
普段利用しているモノについて知識を身につけるのもいいのでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。