パルスオキシメーターは、動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を非侵襲的に測定する医療機器です。
コロナウイルスがとても流行していた時期には行政から貸出もありました。
以下にその構造と機能、そして現場で利用する上での工夫について詳しく説明します。
構造
- プローブ:
指先などに装着する部分で、赤色光と赤外光を発するLEDと受光センサーが組み込まれています。 - ディスプレイ:
測定結果を表示する部分で、SpO2と脈拍数がリアルタイムで確認できます。
パルスオキシメーターには色々な種類がありますが。プローブとディスプレイが一体型にあっているもの、コードで繋がっているものがあります。
一体型
小型であることが多く、持ち運びに便利です。また、リハビリで利用する場合は手すりを持った指先に装着して、数値を確認しながら運動することもあります。ただし、指先が動く場面になると測定が難しくなるため注意が必要です。歩行においては勢いよく腕を振ると飛んでいってしまうこともあります。
コードで繋がっているタイプ
パルスオキシメーターは装着する部品を交換可能であり、装着する部分の故障や小児など体型が異なる場合に対応しやくなります。装着しながら運動するためには、ディスプレイ部分を首にかける、腕に固定するなどの工夫が必要になります。
機能
- 酸素飽和度の測定:
ヘモグロビンが酸素と結合すると赤くなる性質を利用し、血液の赤色度合いからSpO2を測定します。これは、心臓から全身に運ばれる血液中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを示します。 - 脈拍数の測定:
血流の変化を検知し、脈拍数も同時に測定します。
測定できる原理について
1. 光の吸収を利用
パルスオキシメーターは、血液の赤い色を利用して酸素飽和度を測定します。
- 赤色光(R)と赤外光(IR)の2種類のLEDライトを指先に当てます。
- 酸素と結びついたヘモグロビン(HbO2)と、酸素を離したヘモグロビン(Hb)は、これらの光をそれぞれ異なる割合で吸収します。
2. 動脈血の変動を検出
パルスオキシメーターは、動脈血の拍動を利用して測定を行います。
- 心臓の拍動に合わせて、動脈血の量が変化します。
- この変化は、光の吸収量の変動として検出されます。
3. 酸素飽和度の計算
赤色光と赤外光の吸収率の比から、酸素飽和度を計算します。
- HbO2が多いほど、赤色光の吸収が少なくなります。
- R/IRの比率から、校正定数を用いてSpO2(酸素飽和度)を算出します。
測定方法
- 指先にパルスオキシメーターを装着します。
- LEDとセンサーで指を挟みます。
- 数秒で測定が完了し、酸素飽和度(SpO2)が表示されます。
以下のポイントに注意することが重要です。
- SpO2の正常範囲:
正常な酸素飽和度(SpO2)は96%以上です。93%以下は酸素投与を考慮すべきレベルで、90%未満は危険な低酸素血症とされます。 - 測定の安定性:
測定値は30秒から60秒間観察し、その間で最も頻繁に現れる値を記録します。
SpO2は変動するため、単一の瞬間的な値ではなく、安定した値を確認することが重要です。 - 脈波の確認:
測定時には脈波が正しく表示されているか確認します。
脈波が不明瞭な場合、測定値は信頼できない可能性があります。 - 測定環境:
指先が冷えていると測定に影響を与えるため、指を温めてから測定することが推奨されます。
また、マニキュアや汚れは光の透過性を低下させるため、これらを取り除いてから測定します。 - 応答遅れ:
測定値には時間遅れがあるため、運動や体位変換後には安静にしてから測定する必要があります. - これらの点を考慮しながら、パルスオキシメーターのデータを解釈し、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。
リハビリの現場で利用する上での活用方法
- 肺炎や呼吸器官に病状を抱えて利用者さんに活用することが多い。
運動負荷をかけると、全身で酸素が消費されます。
安静にしていても脳での酸素消費量が変わりにくい一方で、運動することことで心肺機能を含めた全身の筋肉にて酸素消費量が増加します。そのため、十分に酸素を血液に取り組むことが難しいと、動脈血酸素飽和度の低下が生じます。そのため、運動量が適切かどうか判断するための指標に活用します。 - 測定部位は手の指とは限りません。
手の指にて測定することが一般的になりますが、足の指でも測定することができます。
耳介(耳たぶ)でも測定することが出来る機器もあります。 - 在宅酸素療法(酸素ボンベにて鼻カヌラを利用している)にて生活する際に、医師から購入を進められるため、ご自身で購入されることもあります。市町村により助成制度があります。
住まわれている自治体に一度確認されることをオススメします。
まとめ
パルスオキシメーターは体の中の酸素を簡単に測れる便利な道具ですが、使い方や結果の意味をよく理解することが大切です。
以上、参考になれば幸いです。