在宅療養を支える訪問看護サービス。日中の訪問ケアだけでなく、「もし夜間や休日に体調が急変したらどうしよう…」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
そんなときに心強いのが、24時間体制で看護師に連絡・相談できる「緊急時訪問看護」の仕組みです。
本記事では、介護保険と医療保険の両面から、「緊急時訪問看護加算」「24時間対応体制加算」といった制度についてわかりやすくご紹介します。
◆ 24時間対応の訪問看護とは?
訪問看護には、「定期訪問」と「緊急時対応」の2つの柱があります。
そのうち、緊急時対応とは、体調が急変したときなどに、夜間や早朝、休日を問わず看護師と連絡が取れる体制のことを指します。
✅ どんなときに役立つ?
- 夜間に呼吸苦や発熱があった
- 急な点滴や吸引が必要になった
- 家族が判断に迷った際に、看護師に確認したい
- 訪問時間外でも、看護師に来てもらいたいとき
こういった「突然の不安やトラブル」が起きたとき、電話相談や訪問対応をしてもらえる体制があると、精神的にも大きな支えになります。
◆ 介護保険で使える「緊急時訪問看護加算」とは?
◉ どんな制度?
介護保険における「緊急時訪問看護加算」は、訪問看護ステーションが24時間体制の連絡・対応体制を整えている場合に、月単位で追加される加算です。
この加算を利用することで、日中以外の時間帯でも、看護師と電話でつながる・必要に応じて訪問してもらえる体制を利用できます。
◉ 対象となる方
- 要介護1〜5の方
- 要支援1・2の方(予防訪問看護を利用している方)
つまり、介護認定を受けているすべての方が対象になります。
◉ 実際の対応は?
- 電話相談のみの場合でも加算の対象です(訪問がなくてもOK)
- 看護師と相談の上で、「必要」と判断された場合に自宅へ訪問
- 看護師が持つ携帯電話(オンコール)にいつでもつながる
ご利用者本人やご家族が不安を感じた時、すぐに連絡できるという仕組みが整っていることが大きな安心材料になります。
◆ 医療保険で使える「24時間対応体制加算」とは?
訪問看護は介護保険だけでなく、医療保険でも提供されています。
医療保険で利用している場合は、「24時間対応体制加算」という名称になります。
◉ サービス内容に違いはある?
結論から言えば、介護保険の「緊急時訪問看護加算」と同様の内容です。
つまり:
- 看護師が24時間連絡可能な体制を整備
- 夜間・休日でも、必要時には電話相談や訪問対応
- 医療的な判断や処置も含めて柔軟に対応
保険の区分が違うだけで、実際のサービス内容としてはほぼ同等と考えて問題ありません。
◆ 24時間対応の訪問看護はすべてのステーションで受けられるの?
ここで注意点があります。
現在、全国に数多くの訪問看護ステーションがありますが、すべての事業所がこの24時間体制に対応しているわけではありません。
特に、小規模なステーションでは、
- 夜間にオンコール対応できる看護師の人員確保が難しい
- 夜間訪問に対応する車や資源が限られている
といった理由から、24時間対応を行っていない場合もあるのが現実です。
◉ どう見分ける?
訪問看護ステーションの「運営体制」や「加算の算定状況」は、事前に確認することが大切です。
サービス利用前に、ケアマネジャーや病院の相談員に確認しておくと安心です。
◆ 今後の傾向は?24時間対応ステーションの増加と淘汰
現場の感覚としては、24時間対応を行っていない事業所は徐々に減少傾向にあります。
理由としては、
- 利用者・家族が「安心して任せられるステーション」を選ぶ傾向が強まっている
- 医療依存度の高い在宅療養者が増え、夜間対応の需要が高まっている
- 訪問看護報酬上も、24時間体制の整備が評価されている
などが挙げられます。
つまり今後、24時間対応が“当たり前”の時代になっていく可能性が高いです。
一方で、対応が難しい事業所は、他の強みを持たない限り、利用者のニーズに応えられず、統廃合や閉鎖が進んでいくと予想されます。
◆ まとめ|安心の夜間体制を整えよう
在宅療養における「夜間・休日の不安」は、患者さんだけでなく支える家族にも大きなストレスとなります。
24時間体制の訪問看護は、その不安を軽減する**“お守り”のような存在**です。
✅ 今回のポイント
- **介護保険では「緊急時訪問看護加算」**で対応可能
- **医療保険では「24時間対応体制加算」**が用意されている
- 電話相談だけでも利用できる(訪問がなくてもOK)
- 看護師と24時間つながることで、安心感が大きく向上
- ステーションによって対応可否が異なるので事前確認を!
夜間の緊急対応が可能な体制を整えておくことは、在宅療養を安全・安心に続けるためにとても重要です。
訪問看護を検討中の方は、ぜひこの「24時間体制」に対応しているかどうかも、選ぶ際の判断基準の一つにしてみてください。
ご不明な点や、詳しい相談をご希望の場合は、地域の訪問看護ステーションやケアマネジャーにお気軽にご相談ください。
あなたやご家族の「安心できる在宅療養」を、訪問看護がしっかりと支えてくれます。
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