- 訪問看護の現場で新人スタッフがつまずきやすいポイント
- 病院勤務との違いと、訪問看護で求められるスキルセット
- 制度知識が“信頼”と“安心”を生む理由
- 初心者が体系的に制度を理解できる3冊の厳選書籍
- 書籍で学ぶことのメリットと、学びを現場で活かす方法
- 訪問看護で“自信を持って働くための学び方”のヒント
訪問看護の世界に初めて足を踏み入れると、病院勤務とはまったく違う環境に戸惑う方が多いのではないでしょうか。
利用者さんのご自宅という限られた空間で、医療処置だけでなく制度説明や事務対応まで幅広く求められる訪問の現場。
「何をどこまで理解しておけばいいの?」「制度や報酬のことが分からない…」と不安を感じる新人スタッフは少なくありません。
実は私自身も、訪問看護へ転職した当初は制度の理解が浅く、利用者さんへの説明に苦戦し、信頼を失いかけたことがありました。
しかし、書籍を通じて体系的に学ぶことで、制度の全体像が見えるようになり、利用者・家族・事業所のすべてに信頼される看護ができるようになったのです。
この記事では、そんな私の経験をもとに、新人看護師・リハスタッフが訪問現場で自信を持って動けるようになるおすすめ書籍3選を紹介します。
制度・報酬・実務の「基礎から現場対応」までをしっかり身につけ、あなたの訪問デビューをサポートします。

病院との違いに戸惑う最初の壁
訪問看護においては、医療行為の提供だけではなく、保険証の確認、請求書・領収書の交付、介護保険制度の説明といった、今まで医事課や事務職員が担っていた業務も自分で行う必要があります。
この「一人で全てをこなす」スタイルは、最初のうちは誰にとっても大きなプレッシャーです。
私が訪問看護ステーションで働き始めたのは7年前。
初めての訪問では、リハビリ業務を行いながら、ご家族がそばで見守る中での介入に強い緊張を感じました。まさにサッカーでいえば“アウェイ”のような環境。
看護師の同僚たちも「病院とは違う雰囲気の中で業務を行うのは慣れない」と話していたのを覚えています。
さらに、保険証の確認や請求、医療・介護保険の取り扱いなど、これまで経験のなかった業務にも直面しました。
特に医療保険や介護保険の制度、難病受給者証や自己負担割合といった細かなルールを理解していないと、利用者さんからの質問にすぐ答えられない。
「何となく分かっているつもり」で対応すると、後にトラブルにつながることもあります。
制度を知らないことが「信頼を失う原因」にも
私はあるとき、利用者さんからこんな質問を受けました。

「私は難病指定を受けてるけど、介護保険も関係あるの?」
その時、うまく答えられず、「確認して後日お伝えします」と返すしかありませんでした。
しかし次回の訪問は1週間後。その間に利用者さんやご家族さんの不安が募ってしまい、「この人、大丈夫なのかな…?」という空気を感じたことがあります。
この経験から痛感したのは、制度を知らないことは、技術不足以上に信頼を損なうリスクがあるということ。
それから私は、制度や報酬の仕組みをしっかり理解するために、書籍を使って体系的に学び直しました。
結果、
「この方は54の難病受給者証を持っているから医療保険が3割負担でも、この場合は2割負担」
「このケースは介護保険優先になるので医療保険は利用できない」
といった判断をその場で説明できるようになり、利用者さん・ご家族さんの信頼を得ることができました。
その積み重ねが評価され、3年後には主任に昇格。
改めて、「制度の理解こそ現場を支える武器」だと感じました。
訪問看護で求められる知識とは?
訪問看護の仕事は「医療行為」をするだけでは成り立ちません。
限られた時間の中で、複数のスキルを同時に使いこなす必要があります。
- 時間配分スキル:限られた訪問時間で必要なケアを完遂する力
- コミュニケーション力:ご家族や他職種との調整・説明
- 制度知識:医療保険・介護保険・難病制度などの理解
- 事務スキル:請求書・領収書の交付、保険証確認など
これらをバランスよく身につけることが、安心して働ける基盤となります。
特に制度知識は、「知らない」では済まされない分野です。
独学で断片的に学ぶとヌケモレが出やすく、正確な判断ができなくなります。
体系的に学ぶなら、信頼できる「書籍」から学ぶのが最も効果的です。
ここでは、私が実際に読んで役立った、または新人スタッフに強くおすすめしたい3冊をご紹介します。
新人訪問看護師・リハ職員におすすめの書籍3選
各書籍の特長
書籍 | 特長(箇条書き) |
---|---|
動画でまるっとわかる!訪問看護師のための診療報酬&介護報酬ポイントBOOK | ・映像(動画)で制度のポイントを学べる形式で、文字だけでは理解しづらいところをサポート ・重要ポイントをコンパクトに整理してあり、忙しい現場でもすぐ確認できる ・映像+テキストの二重学習が可能で、視覚的にも理解が進みやすい ・ポイント形式なので見返しやすさ・復習性が高い |
たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル 第8版 | ・算定ルールが一目でわかる チャート図 が充実しており、視覚的理解に優れる ・在宅報酬に特化しており、訪問看護・在宅医療スタッフにとって実務に直結する情報が多い ・改定項目を見やすく整理しており、どこが変わったか即チェックできる構成 |
訪問看護師のための診療報酬&介護報酬のしくみと基本 2024年度改定対応版 | ・訪問看護に関わる診療報酬・介護報酬制度を 図解でスイスイ 理解できる構成 ・改定・新設項目がすぐわかるマーク付き で、改定点の把握が容易 ・制度の仕組みから基本まで広くカバーしており、初心者にも使いやすい |
① 動画でまるっとわかる!訪問看護師のための診療報酬&介護報酬ポイントBOOK

「文字だけだと頭に入りにくい」「改定内容を短時間で理解したい」という方にぴったりなのがこの1冊。
動画で学べるという新しいスタイルで、忙しい看護師やリハ職員でもスキマ時間に効率よく学習できます。
特長
- 動画×テキストのハイブリッド学習で、視覚的に理解できる
- 2024年度報酬改定に完全対応
- 忙しい現場スタッフでも、短時間で「要点だけ」学べる構成
- 実際の算定例を動画で解説しており、現場感覚がつかめる
- スマホでも視聴でき、出先での確認にも便利
② たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル 第8版

在宅医療や訪問看護の現場で働く人なら、一度は耳にしたことがある“たんぽぽ先生シリーズ”。
2024年度診療・介護報酬改定に完全対応した最新版です。
制度の複雑な算定ルールを「図」「チャート」で徹底的にわかりやすく解説してくれています。
特長
- 算定ルールが一目でわかるチャート図を多数掲載
- 在宅・訪問分野に特化した報酬マニュアル
- 改定ポイントを色分けで整理、何が変わったかがすぐわかる
- 実務で「これ算定できる?」と迷った時の判断基準になる
- 管理者・主任クラスにも愛用者多数。チーム全体で共有できる内容
私自身、この本に何度も助けられました。
報酬算定は少しの違いで加算が変わるため、「このケースはどの区分?」と悩む場面が多いですが、たんぽぽ先生のチャートを見れば一発で解決します。
新人だけでなく、経験者にも“手放せない1冊”です。
③ 訪問看護師のための診療報酬&介護報酬のしくみと基本 図解でスイスイわかる 2024年度改定対応版

清崎由美子さんによる人気シリーズの最新版。
制度の「全体像」と「現場での使い方」を両立して学べる点が魅力です。
新人研修やチーム勉強会でも使いやすく、ビジュアル中心で理解がスムーズ。
特長
- 制度のしくみを図解でやさしく解説
- 改定・新設項目がマーク付きでひと目で把握できる
- スタッフ教育・研修資料としても最適
- 現場での対応例・説明例も充実
- 新人〜管理者まで、幅広く使える汎用性の高い構成
制度理解の「入口」として最もおすすめの1冊です。
専門用語が多くて苦手意識を持っている方でも、図やイラストで直感的に理解できます。
制度を学ぶことが「安心して働く力」になる
訪問看護では、制度の知識が「現場での安心感」を支えます。
なぜなら、保険や報酬の仕組みは、単にお金の話ではなく、利用者さんの生活そのものを支える仕組みだからです。
- 「この制度を使えば、自己負担が軽くなります」
- 「この区分に該当するので、サービスが継続できます」
こうした一言が言えるだけで、利用者・家族の安心度は大きく変わります。
そしてその知識が、あなた自身の評価にもつながります。
まとめ:書籍で学んで、訪問看護に自信をつけよう
訪問看護は、病院勤務とは違うスキルが求められる現場です。
制度を理解すれば、利用者・ご家族さんへの説明が的確にでき、
事務スタッフとも円滑に連携できるようになります。
結果的に、
- 利用者さんの満足度が上がる
- 事業所の信頼が高まる
- 自分自身のキャリアアップにもつながる
書籍で学ぶことは、あなたの訪問看護人生を大きく支える投資です。
今回ご紹介した3冊は、いずれも現場ですぐ役立つ知識が詰まっています。
制度改定にも対応しているため、これから長く使える“訪問看護の教科書”としておすすめです。
紹介書籍
「知らなかった」を「知っていてよかった」に変える一歩を。
訪問看護の現場であなたが安心して輝けるよう、ぜひこの3冊を手に取ってみてください。