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訪問看護の時間延長につ長時間訪問看護加算とは?訪問時間の延長が可能になる条件や対象者をわかりやすく解説いて 

制度
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訪問看護は、医師の指示のもとで、看護師などの医療専門職が利用者のご自宅を訪問し、必要な医療的ケアや生活支援を提供するサービスです。

通常、訪問時間には基本的な上限が設けられており、保険制度(医療保険・介護保険)によってそのルールは異なります。しかし、特別な医療的ニーズを持つ方には「長時間訪問看護加算」が適用され、訪問時間を延長しての支援が可能になります。

今回は、この「長時間訪問看護加算」について、制度の概要、医療保険・介護保険での違い、対象となる方の条件、算定回数の制限、そして注意点などを丁寧に解説します。


■ 訪問看護の「基本の訪問時間」とは?

訪問看護の基本的な訪問時間は、**1回あたり90分未満(1時間30分未満)**が原則とされています。

この時間内に、バイタルサインのチェック、点滴や服薬管理、排泄・入浴の介助、褥瘡ケア、リハビリテーションなど、必要な看護を効率よく実施します。

しかし、以下のようなケースでは、この90分では対応しきれないことがあります。

  • 医療的なケアが多岐にわたる
  • 家族の介護負担が大きい
  • 複数の処置に時間がかかる
  • 小児や重度障害者で丁寧なケアが必要

こうした背景から、一定の条件を満たす利用者には、「長時間訪問看護加算」が適用され、訪問時間を延長して対応できるようになっています。


■ 医療保険における長時間訪問看護加算の対象者

医療保険を利用して訪問看護サービスを受ける方の中で、「長時間訪問看護加算」が適用されるのは、特に医療依存度が高い方や、重症の小児などが中心です。

対象者は大きく分けて3つのカテゴリーに分類されます。

① 15歳未満の重症児(超重症児・準超重症児)

  • 医学的スコアで判定され、10点以上の状態を指します。
  • 呼吸器や栄養の管理、頻回な吸引など、医療的ケアが継続的に必要な場合が多いです。
  • 週3回まで加算算定が可能です。

※判定スコアについては以下を参考に:
重症児の判定基準(PDF)

② 別表第8に該当する者

  • 在宅で人工呼吸器を使用している方や、中心静脈栄養を行っている方など。
  • 医師の在宅管理指導のもとで、特別な医療的対応が必要とされるケースです。
  • 週1回までの加算が可能。ただし、15歳未満の小児の場合は週3回まで算定可能。

③ 特別指示書の対象者

  • 特別訪問看護指示書、または精神科特別訪問看護指示書の発行を受けた利用者。
  • 医師が「特別な状態」と判断して交付した場合に限ります。
  • 加算の対象は週1回までです。

■ 介護保険における長時間訪問看護加算の対象者

介護保険で訪問看護を利用している場合も、対象となる方には長時間訪問が可能になりますが、対象となる条件が異なります

介護保険における対象者は、以下の加算に該当している必要があります。

● 特別管理加算(IまたはII)の対象者であること

これは、在宅で医療的な管理が必要な方に対して、特に重点的なケアを提供するための加算です。

具体的には、以下のような医療的処置を受けている方が該当します:

  • 在宅酸素療法
  • 中心静脈栄養(IVH)
  • 胃ろうや腸ろうなどの経管栄養
  • 人工肛門の管理
  • インスリン自己注射
  • ドレーンやカテーテルの管理 など

これらの加算に該当していることが確認できた場合、長時間訪問が認められます。


■ 訪問時間の延長はどうやって決まる?

長時間訪問が必要かどうかは、主に以下の2つの視点から判断されます。

  1. 医療的ケアの内容と時間的必要性
    • 点滴の所要時間、吸引の頻度、創傷処置の手順など。
  2. 利用者・家族の生活状況や支援体制
    • 独居かどうか、家族の支援が可能かどうかなど。

実際の運用では、主治医、訪問看護ステーション、ケアマネジャーの連携で、訪問内容の調整加算申請の要否が判断されます。


■ 加算の回数制限と注意点

長時間訪問看護加算には、算定できる回数の制限があります。

保険制度対象上限回数
医療保険重症小児週3回
医療保険別表第8該当者・特別指示書対象者週1回(小児は3回まで)
介護保険特別管理加算対象者必要に応じて設定可(ケアプランに基づく)

また、医療保険で長時間加算を算定できるのは、原則として1つの事業所のみです。

たとえば、小児の医療ケアが必要なケースで2つの訪問看護ステーションが交互に介入している場合、隔週で加算を交互に算定する調整が行われることもあります。

このあたりは非常に実務的な部分で、現場での連携と調整が重要となります。


■ 小児や重度障害者への適用と支援制度

小児や重度障害を持つ方にとっては、長時間訪問看護は非常に重要な制度です。

● 金銭的負担が少ないケースが多い

特に小児の場合は、「自立支援医療(育成医療・更生医療)」や「障害者医療費助成制度」などの自治体による補助制度が充実しているため、自己負担がほとんどないケースも多くあります。

● 家族の介護負担軽減に

また、長時間訪問により家族の介護・育児の時間的負担が軽減され、安心して在宅療養が継続できる環境づくりにつながります。


■ まとめ:長時間訪問看護加算は必要な人に届く制度

長時間訪問看護加算は、医療的ケアの必要性が高く、通常の訪問時間では支援が不十分になる方に対する大切な制度です。

  • 医療保険では、重症小児や医療機器使用者などが対象
  • 介護保険では、特別管理加算対象者が中心
  • 訪問看護ステーションと医師、ケアマネジャーの連携が重要
  • 小児や障害者には金銭的支援制度も豊富に存在

利用者本人・ご家族の生活の質(QOL)の向上に直結するこの制度を、適切に理解し、必要な支援が行き届くようにすることが、今後ますます求められていくでしょう。


以上、訪問看護における「長時間訪問看護加算」について詳しくご紹介しました。必要な方にこの情報が届くことを願っています。ご不明な点があれば、訪問看護ステーションやケアマネジャーにお気軽にご相談ください。