結論:介護報酬は減算しており、サービスの導入が難しくなっている
介護保険の改定において、要支援者への訪問看護によるリハビリの提供を行うことが難しくなってきています。明確の目標を設定し、目標の達成後は訪問看護を卒業することが大切になっていると感じています。
背景
日本は超社会高齢者を迎え、要高齢介護者の増加が社会的課題となっています。これに伴い、在宅介護ニーズが発生し、訪問看護へのニーズも増加しています。
要支援者と訪問看護、介護保険制度下のサービスの提供
要支援者は、介護保険制度において軽度の支援を必要とする人々を受け入れています。
2000年に施行された介護保険法により、要支援者に対する訪問看護は介護保険法に基づくサービスとして随時されました。これにより、利用者との契約によって看護の提供を行う形態となりました。
利用者数の増加と在宅療養支援の重要性
介護保険法施行後、介護保険サービス受給者数は大幅に増加しました。2000年には約184万人だった受給者数は、2015年には約521万人で2.8倍に増加しています。要支援者を含む高齢者多くは、身体機能が低下しても自宅で生活したいと思っています。
2024年度の介護報酬改定により、要支援者へのリハビリテーション提供に関する訪問看護の減額について、以下のような変更が行われました。
減算の概要
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士(以下、理学療法士等)による訪問看護に対し、以下の条件で減額が適用されます:
- 基本的な減算:訪問1回につき8単位を所定単位数から減算。
- 介護予防訪問看護の場合の追加減額:
- 上記の8単位減算に加えて、さらに15単位を減算します。
8単位減算を受けていない場合は、5単位を減算します。
- 上記の8単位減算に加えて、さらに15単位を減算します。
減算の適用条件
減額は以下のいずれかの条件に該当する訪問看護事業所に適用されます:
- 前年度の理学療法士等による訪問回数が看護職員による訪問回数を上回っている。
- 時緊急訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算をいずれも評価していない。
注意点
- 1回最低20分の訪問が基本です。
- 1名様に対し週6回までの訪問が可能です。
- 1日に3回以上訪問した場合、それぞれの訪問について10%の減額があります。
背景と今後の方向性
この減算措置の背景には、訪問看護ステーションの本来の役割を明確にしようとする意図があります。
- 医療ニーズの高い重度者へのケアを重視
- 24時間365日の訪問体制の構築を推進
上記の体制を整備できるかどうかで、報酬面での差が大きくなっています。
この改定により、訪問看護ステーションは要支援者へのリハビリテーション提供について、より慎重な対応が求められることになっています。 サービスの質を維持しつつ、効率的な運営を行うことが重要となってきます。
まとめ
要支援者への訪問看護によるリハビリテーションの提供について紹介してきました。
介護報酬の減算が行われたことで、同じサービス内容でも得られる収益面が低下しています。
要支援者への訪問看護は必要な面もありますが、リハビリテーションを提供する目的や目標をサービス開始時に明確にすることで、必要な対象者に必要なサービスを提供することができるのではと考えています。
目標を達成することで、対象者に自信をもっていただき、訪問看護が終了したとしても、在宅で生き生きとした生活を送る一助になるのではないかと思います。
以上、参考になれば幸いです。