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【解説】世界の介護事情をやさしく解説!

制度
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私たち日本では、40歳以上の人が介護保険に加入し、必要なときにサービスを利用できる「公的介護保険制度」があります。でも、世界を見渡すと、国によって介護の仕組みはさまざま。
今回は、イギリス・スウェーデン・アメリカ・アフリカの介護の現状をわかりやすく紹介します。


🔹 イギリス:原則「自己負担」の制度

イギリスには日本のような介護保険制度はありません。基本的に介護サービスは自分でお金を払う必要があります。

現在の制度(~2028年9月まで)

  • 資産が約430万円以上ある人 → 全額自己負担
  • 資産が約260万~430万円 → 一部自己負担
  • 資産が約260万円未満 → ほぼ全額公的負担

新制度(2028年10月から)

  • 資産が約1,860万円以上 → 全額自己負担
  • 資産が約370万~1,860万円 → 一部自己負担
  • 資産が約370万円未満 → 公的負担が中心

また、自己負担の上限は約1,600万円(£86,000)までと決まる予定です。ただし、食事や住まいの費用は別途自己負担になります。


🔹 スウェーデン:税金で支える“高負担・高福祉”のモデル

スウェーデンは、「税金」で介護を支える国です。保険料はなく、地方自治体(コミューン)がサービスの内容を決めて提供しています。

特徴

  • 自宅での介護を基本とした「在宅ケア」が中心
  • 夜間も含めた24時間対応の包括ケア
  • 認知症ケアに力を入れており、専門看護師がサポート
  • 自宅改修のための補助制度もあり
  • 介護サービスの利用率が非常に高い

スウェーデンでは、子どもが親と同居しないのが一般的。そのため、介護は地域サービスが担う役割が大きいのです。


🔹 アメリカ:保険も制度もバラバラ…介護は「自分でなんとかする」社会

アメリカには、日本のような全国共通の介護保険制度はありません。そのため、介護にかかるお金は、自分で払うケースが多いです。

主な手段

  • 私的保険(長期介護保険など)
  • メディケア(65歳以上などが対象/入院後の短期介護など)
  • メディケイド(低所得者向け/州によって条件が異なる)
  • 自己資金

補足

  • メディケア → 65歳以上の人が主な対象。全ての介護には対応していません。
  • メディケイド → 所得制限があり、条件を満たせば長期介護もカバーされる場合があります。

つまり、お金がある人は自分でなんとか、ない人は制度を利用する…というのがアメリカ流の介護スタイルです。


🔹 アフリカ:家族が支える介護が主流

アフリカでは、ほとんどの国で日本のような公的な介護保険制度は整っていません。そのため、家族による介護が当たり前という社会が多いです。

主なスタイル

  • 家族による介護
  • 地域コミュニティの助け合い
  • NGOやボランティアによる支援

ただ、少しずつ変化も。
例えば:

  • 南アフリカ → 国民健康保険の法案が提出され、制度整備中
  • モーリシャス → デイケア施設や地域支援の整備が進んでいる
  • セーシェル → 年金制度や介護政策が整っている
  • ウガンダ → 国民健康保険の導入を計画中

とはいえ、ほとんどの地域ではまだまだ制度が発展途上というのが現実です。


🌏 日本の介護制度はどうなの?

日本の介護保険制度は、全国民が対象で、サービスの種類も多いのが大きな特徴です。

日本の強み

  • 40歳以上が保険料を支払い、全国共通で使える
  • 在宅・施設・地域密着型など多彩なサービス
  • ケアマネージャーが個別のプランを作成
  • 家族介護の支援制度もあり

ただし、課題もあります。

  • 財源(お金)の問題
  • 介護人材の不足
  • 高齢化の加速による需要の増加

今後は、スウェーデンのような在宅ケアモデルや、ドイツ・韓国のような人材支援策を参考にする動きも出てくるかもしれません。


🌍世界の介護制度をざっくり比較!

🔹 イギリス
→ 原則「自己負担」。資産額で負担割合が変わり、将来は自己負担の上限も設定予定。

🔹 スウェーデン
→ 税金で介護を支える「高負担・高福祉」型。認知症ケアや在宅サービスが充実。

🔹 アメリカ
→ 全国共通の介護保険はなし。私的保険や政府の支援制度を組み合わせるスタイル。

🔹 アフリカ
→ 制度は未発達。家族や地域の助け合いが中心だが、一部の国で制度整備が進行中。

🔸 日本の介護保険制度
→ 40歳以上が対象の公的制度で、包括的かつ多様なサービスが魅力。ただし、持続可能性や人手不足が課題。

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