医療機関を受診したとき、「診察」と「診療」という言葉を耳にしたことがあると思います。似ているようで実は意味が異なるこの2つの言葉。この記事では、初心者の方でも理解しやすいように、それぞれの違いをわかりやすく説明します。
基本的な違い
- 診察:医師が患者の症状や状態を調べる行為。病気を見つけるための“入り口”です。
- 診療:診察に加えて、検査・診断・治療まで含めた“医療全体のプロセス”です。
簡単に言えば、診察は診療の一部であり、診療の流れの中で最初に行われる重要なステップです。
診察とは?
● 目的
患者の状態や症状を直接確認し、病気の手がかりを探るために行います。
● 方法
- 問診:症状や生活習慣などを医師が質問します。
- 視診:見た目(顔色、姿勢など)を観察します。
- 触診:患部を触って腫れや痛みの有無を確認します。
- 聴診:聴診器で心臓や肺の音を聞きます。
● タイミング
診察は、患者が医療機関に来たときに最初に行われます。
診療とは?
● 目的
病気の診断や治療を通じて、患者の健康状態を回復・維持すること。
● 含まれる要素
- 診察
- 検査(血液検査、画像検査など)
- 診断
- 治療(薬の処方、処置、手術など)
- 経過観察
● 範囲
診療は「患者が医療機関を訪れてから回復するまで」の一連の医療行為をすべて含みます。
実例で理解する「診察」と「診療」
● 風邪の症状で病院へ行った場合
診察:
- 医師による問診(例:「熱はありますか?」)
- のどの視診、リンパの触診、肺の聴診
診療:
- 診察+インフルエンザ検査
- 診断(例:「インフルエンザA型です」)
- 治療(薬の処方、生活指導)
- 経過観察(再診で症状改善を確認)
診療と診察の関係性
- 診察は診療の第一ステップ
- 診察で得た情報が、診断と治療の判断材料
- 診療は、診察から治療、回復までのすべてのプロセスを指す
両者は切り離せない関係にあり、医療の中で連続的に行われます。
シーン別の違い
● 健康診断の場合
- 診察:血圧測定や触診など
- 診療:診察+検査(血液検査など)、結果説明や健康指導を含む
● 慢性疾患の管理(例:糖尿病)
- 診察:定期的な状態確認
- 診療:薬の処方、生活指導、合併症予防など長期的な対応
● 救急医療の場合
- 診察と治療が同時並行で行われ、迅速な処置が求められる
まとめ
用語 | 意味 | 含まれる内容 |
---|---|---|
診察 | 症状を確認する医師の行為 | 問診、視診、触診、聴診など |
診療 | 診察を含む医療全体 | 診察+診断+治療+経過観察 |
- 診察:医師が状態をチェックする“入口”
- 診療:診察から治療まで含めた“医療全体”
医療を受ける人にとって大切なこと
この違いを知っておくと、医療機関での流れがわかりやすくなり、不安も軽減されます。また、医師とのコミュニケーションもスムーズになるため、自分の健康管理に前向きに取り組めるようになります。