訪問診療と往診は、どちらも患者の自宅や施設などに医師が訪問して診療を行う在宅医療の一環ですが、その目的や実施方法には明確な違いがあります。
以下では、それぞれの特徴や違いについて初心者にもわかりやすく解説します。
訪問診療とは?
訪問診療は、計画的かつ定期的に医師が患者の自宅や施設を訪問し、診察や治療を行う医療サービスです。
主な特徴
- 計画性:事前にスケジュールを立て、定期的に訪問します(月1~4回程度が一般的)。
- 対象者:病気や高齢などの理由で通院が困難な方が対象です。
- 診療内容:
- 病状の確認(体温・血圧測定など)
- 検査(採血、尿検査など)
- 治療(点滴、投薬、床ずれの処置など)
- 療養上の相談や指導
- 目的:病状の悪化を防ぎ、患者が住み慣れた環境で安心して生活できるよう支援します。
- 医師の役割:患者の全体的な健康管理を行い、必要に応じて専門医や訪問看護師と連携します。
メリット
- 患者の負担軽減:通院が不要になるため、移動による体力的・心理的負担が軽減されます。
- 継続的なケア:病状の変化を早期に発見し、適切な対応が可能です。
- 家族への支援:家族も相談しやすく、介護負担が軽減されます。
デメリット
- 定期的な訪問であるため、急変時には対応できない場合があります。
往診とは?
往診は、患者やその家族からの依頼に基づき、医師が突発的に患者宅を訪問して診察を行うサービスです。
主な特徴
- 緊急性:急な病状悪化や体調不良などに対応するため、予定外で実施されます。
- 対象者:誰でも利用可能ですが、特に緊急性の高い症状(発熱、呼吸困難など)に対応します。
- 診療内容:
- 突発的な症状への対処(解熱剤投与、酸素吸入など)
- 病状確認と必要に応じた入院手配
- 目的:緊急事態への迅速な対応を行い、患者の安全を確保します。
- 医師の役割:限られた時間と設備で迅速かつ適切な判断を下す必要があります。
メリット
- 迅速な対応:急変時にも自宅で医療を受けられるため安心感があります。
- 移動負担なし:患者が病院へ行く必要がないため体力的負担が軽減されます。
デメリット
- 医療設備が整っていない環境では対応できる範囲が限られる場合があります。
- 緊急性が高いため、医師側のスケジュール調整が難しいことがあります。
訪問診療と往診の違い
項目 | 訪問診療 | 往診 |
---|---|---|
タイミング | 定期的・計画的 | 緊急時・突発的 |
目的 | 病状悪化の予防 | 急変時対応 |
対象者 | 通院困難な方 | 誰でも利用可能 |
頻度 | 月1~4回程度 | 必要時のみ |
医師との関係 | 担当医による継続的ケア | 毎回異なる医師の場合もある |
費用負担 | 比較的安定 | 緊急加算などで費用が高くなる場合あり |
診療報酬上の違い
訪問診療と往診では、それぞれ診療報酬にも違いがあります。
- 訪問診療:
- 定期性があるため計画的に実施される。
- 費用は月ごとの定額制になる場合が多い。
- 往診:
- 緊急性や夜間・休日対応の場合、高い加算点数が適用されます。
- 初診料や再診料も別途加算されることがあります。
選び方と利用シーン
訪問診療がおすすめなケース
- 長期間にわたる慢性疾患(糖尿病、高血圧など)の管理が必要な場合。
- 寝たきりや歩行困難で通院できない高齢者。
- 病状安定後も継続的なフォローアップを希望する場合。
往診がおすすめなケース
- 急激な発熱や呼吸困難など緊急性の高い症状。
- 夜間や休日に病院へ行けない場合。
- がん末期患者の看取りなど突発的な対応が必要な場合。
まとめ
訪問診療と往診はどちらも在宅医療として重要ですが、その役割は異なります。訪問診療は計画された継続的ケアを提供し、往診は緊急時に迅速な対応を行います。
患者や家族の状況に応じてこれらを使い分けることで、自宅でも質の高い医療サービスを受けることが可能です。
参考資料:
- https://misora-home-medical.jp/difference/
- https://www.doctor-vision.com/column/trend/visit02.php
- https://www.doctor-vision.com/column/career/visit.php
- https://umemoto-homeclinic.com/home-visit-home-medical-care/
- http://jvmm.jp/houmon-oushin.php
- https://yokohamanaika-clinic.com/houmonshinryou/
- https://doctor.mynavi.jp/column/workstyle032/
- https://www.medagricare.jp/2019/12/20/%E8%A8%AA%E5%95%8F%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%81%A8%E5%BE%80%E8%A8%BA%E3%81%A7%E4%BD%95%E3%81%8C%E9%81%95%E3%81%86%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%B7%AE%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%E3%81%8B/