ご自宅への訪問は、サッカーにおけるアウェイゲームのようなものです。特に初回訪問は、利用者様やご家族も私たちも緊張している状態です。言葉遣いや所作に気を配り、「不快にさせない」ことが最も大切になります。
以下では、初めて訪問看護をする際に意識しておきたい3つのポイントをご紹介します。
1️⃣ サービスの価値を実感してもらう姿勢が大切
病院は私たち医療従事者にとっての「職場」であり、患者様はある意味「そこにいる立場」です。そのため、病気による不安や劣等感から、精神的に弱い立場になりがちです。
しかし、訪問看護では全く逆です。私たちが、利用者様の「生活空間」にお邪魔しているという認識を持つことが大前提になります。
もし「このサービスは必要ない」と思われれば、すぐに終了となる可能性もあります。だからこそ、自分が提供しているケアや支援が「価値あるもの」として受け入れてもらえるよう、誠実かつ丁寧な対応が求められます。
2️⃣ 環境への介入には“同意”が不可欠
病院では、ベッドの配置や備品の整備など、環境調整が比較的自由にできますが、訪問先ではそうはいきません。訪問先はあくまで利用者様ご自身の生活の場であり、私たちが勝手に変えることはできません。
たとえ安全性の面から環境を変える必要があると考えても、利用者様やご家族の「納得」と「同意」がなければ進めてはいけません。無理に介入しようとすると、かえって信頼を損なってしまうリスクもあります。
環境面の提案をする際は、「なぜそれが必要なのか」をわかりやすく伝え、時間をかけて丁寧にコミュニケーションをとることが大切です。
3️⃣ 日常的に“ビジネスマナー”を意識した行動を
信頼関係は一朝一夕に築けるものではありません。だからこそ、日々の小さな行動の積み重ねが重要になります。
たとえば:
- 靴の脱ぎ方が丁寧か
- ノックの回数や間の取り方
- 扉の開閉の音や動作
- あいさつの声のトーンとタイミング
- 言葉づかいが丁寧でわかりやすいか
これらは一見すると些細なことに思えますが、「この人は信頼できる」「安心して任せられる」と感じてもらうための大事な要素です。
訪問先では、常に誰かに見られているという意識を持ち、相手が不快に思わない・心地よいと感じる行動を心がけましょう。
🌿おわりに:信頼の第一歩は“心地よさ”から
訪問看護において最も大切なのは、「利用者様やご家族が心地よく感じられるかどうか」です。
私たちが提供するケアや言葉、所作のひとつひとつが、相手にとって“安心”にも“不信”にもつながります。だからこそ、「常に見られている」という意識を持ち、相手の立場に立った振る舞いを意識することが重要です。
訪問という特別なフィールドで、信頼関係を築くために。今日から少しずつ、「心地よさ」を届けられる訪問看護師を目指していきましょう。